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余命宣告は受けていないながらも近いうちに死ぬと分かっていた彼は、苦しむのが嫌だと抗がん剤の投与を拒んだらしい。
ご本人様はこうおっしゃっておられますが、と困ったような顔の看護師さんに本人の意向に沿わせてやって下さいとお願いした。
その分生きられる期間は短くなるらしいが、彼がそう望むのなら僕たちに口を出す権利はない。
「おはよう、ころちゃん。」
今日もまた楽譜片手に面会時間が始まって即病室に入った。
朝の8時、病棟内には美味しそうなご飯の匂いが漂っている。
開け放たれた窓とカーテン。
朝日が優しく彼を照らして。
眠り続ける彼をまるでどこかに連れ去ってしまいそうだった。
「生きてます？笑」
縁起でもないことを言って苦笑い。
胸の辺りのお布団が微かに上下しているのと、呼吸音を確認して一安心する。
あと4分の3。
予定しているページ数に対して、僕が作らなくっちゃいけない楽譜は大体あと4分の3まで追い上げてきている。
曲は急ぎすぎるといいものができない。
自分自身と向き合って、テーマについて深く考えて、それに対しての自分の思いを音楽へと変換する。
音楽をやっていない人からすると思いを音楽へ変換するのが難しいと思われがちだが、実をいうと僕が苦手なのは自分自身と向き合うことだったりする。
「自分の因縁や辛い、マイナスな気持ちを綴るのは簡単だが、それでは音楽の意味はないんだよ。
消えたい、死にたい、辞めたい。
そんなマイナスの気持ちをプラスに変えるのが音楽に持たされた気持ちなんだよ。
だからね、いいかいるぅとくん。
辛いことがあっても、そのことを曲には書かない。
どうしたらマイナスの気持ちをなくせるか、プラスの気持ちを生み出せるか。
空元気でも、嘘っぱちでもいい。
人を不安にさせるような音楽は書いちゃいけないよ。」
僕の音大時代の恩師の言葉を反芻した。
希望の歌を、僕はころちゃんに届けたい、な。
そのためにも僕の悲しみや、置いていかれる側の絶望なんかは書いちゃいかない、かなぁ。
その思考を断ち切ったのは、穏やかな朝をつん裂く高い高い電子音だった。
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - とっても面白かったです！続き待ってます！ (7月31日 13時) (
レス) @page4 id: 8001bcdca9 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 宣伝？になるんですけど、今本格的に動いてるのはpixivでのアカウントなので、そちらも見ていただけるとありがたいです。 (7月19日 14時) (レス) id: 471c34c153 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - しゅりぃさん» とても嬉しいお言葉、ありがとうございます。ちょっとだけ頑張ってみようと思います。よければ見にきてください。 (7月19日 14時) (レス) id: 471c34c153 (このIDを非表示/違反報告)
しゅりぃ - そらさんの作品大好きです。シリアスもあるし、甘々もあるし、あほえろもあるし...続き、出来れば待ってます。 (2023年2月5日 11時) (レス) @page3 id: f2ef239dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そら | 作成日時：2022年6月15日 0時
