第二十話 情緒不安定 ページ20
次の日。
明日に迫った手術。
検査以外は特にすることもなくて、エゴサしたり、ちょっと外に出てみたりで自由に時を過ごしていた。
今は外でボーーっとしているところ。
皆もなんか来るらしいけど、夕方辺りだと思う。
病室内の部屋着みたいのを着たまんま、木のベンチに座る。
…ベンチなんて座ったのいつぶりだろう。
お日様の光も浴びて、ポカポカしてきて、気持ちよくなっていると、ポケットに入れておいたスマホが振動した。
検査の時間にアラームを設定しといたから、それが鳴ったらしい。
ベンチから立ち上がり、病院内に入る。
そのまま検査室の方に入って、なんか色々写真を撮られる。
特に僕はすることなし。
それから、手術の説明を受ける。
……ちょっとよくわからない。
資料を渡されたけど、読めない漢字があるし。
……え?漢字弱者だって?
…うるさいよ。
検査が終わったらしく、病室に帰る。
もうちょっと外に居たかったんだけど、そろそろ皆が来るかと思ったから。
検査から帰ると、意外な事にみんな揃っていた。
「あれ、もう皆来てたんだ!」
手術前でちょっと下がっていたテンションを無理矢理に引き上げて、笑顔でそう言うと、さとみくんが、
さ「お!るぅと!
皆でトランプやろうぜ!!」
と、トランプを掲げてにかっと笑ってきた。
「おお!
やろうやろう!
何するの?」
と聞くと、ババ抜き。と、速攻で答えが返ってきた為、配ってやり始めた。
ただ、一つ問題がある。
ころちゃんと莉犬のテンションがありえないほど低い。
何なら僕よりも低い。
盛り上げ役のころちゃんと、笑って空気を和ませてくれる莉犬がテンションが低いと、全くと言っていいほど場が盛り上がらない。
誰が勝っても、率直に言って面白くない。
それに、辛いって言う気持ちは、僕の方が強いはずなんだけど。
なんで二人が僕よりも苦しそうなの?
なんで?
僕は励まして欲しいんだけど?
別に同情なんてほしくない。
手術の前日で、どこか情緒不安定だったのだろう。
僕は二人にそんな理由で怒鳴ってしまった。
怒鳴ってしまった後、二人は啞然とした顔で僕を見つめ、気まずそうに視線を落とした。
莉犬の目から涙が零れるのを見て、僕は正気を取り戻した。
「ごめん…」
莉犬はちょっと泣きながら、ごめんと言っていた。
ころちゃんも、聞こえるか聞こえないかぐらいのか細い声で僕にごめんといった。
病室が気まずい空気に包まれた。
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ましろ@逃避行(プロフ) - そらさん» そうです、pixivも漁らせて頂いてます🙇最新作の無人島のお話特に大好きで永遠リピしている者です(笑)最近は温度差が激しいので熱中症には気をつけて頑張ってくださいね💪 (7月21日 16時) (レス) id: 90eb321d07 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - しゃんさん» あれ、pixivの方も見てくださってる方ですか、、、?ありがとうございます笑 (7月19日 14時) (レス) id: 471c34c153 (このIDを非表示/違反報告)
しゃん(プロフ) - わわ、めちゃくちゃ好きです...こちらのサイトも文才が神っていて拝ませていただいています。どちらのサイトも応援しています。 (2023年2月4日 21時) (レス) @page12 id: 89ee40fd7b (このIDを非表示/違反報告)
そら。 - 菜乃さん» 非ログインからお送りします〜 眼科じゃなくて黄くんは目医者って言っててほしいなと思っての目医者です! 今は別のサイトで活動中で、この作品駄作中の駄作だなとか思って見返してたのですが、面白いなんて嬉しいです!! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 67949caf86 (このIDを非表示/違反報告)
菜乃 - 目医者じゃなくて、眼科ですよ〜!おもしろいです! (2021年5月29日 14時) (レス) id: b3dc4b2f8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そら。 | 作成日時:2021年1月16日 23時