変温メトロノーム [ユーリ!!!onICE] (ページ3)

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「おかえりー‼勇利、ヴィクトルー‼」
「ワン！ワン！」

「ただいま、Aちゃん。」
「やぁA、マッカチンただいま！いい子にしてたかい？」

「うん！もう暇すぎて死にそうだっ……

…‼‼⁇」

その時、私は今まででにないほど頭を強く殴られたような衝撃を受け、目の前のことがあまりにも信じれずにあの世とこの世をさまよった。扉の向こうには顔見知りの2人以外に予想もしなかった金髪の訪問者が立っていた。

…嘘…本当に…?…信じられない…

まさか…まさかこんなところに……

「ユーリ…プリセツキー？」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「なんだよっ！この女は‼」

俺は豚との勝負をすると決めた後、豚だけヴィクトルと一つ屋根の下はずるいと思い、豚の家に押し掛けていた。

豚の家に着き、扉を開けた途端テンションマックスの声のお出まし。どんな奴かと思って覗けば俺を見るなりいきなり鼻血を出して倒れた。

意味不明。ただの変態だろ。

だが、俺の事を知っていたらしく、俺の名前を一言つぶやいてからそいつは倒れた。

「あちゃー、しまったAちゃんがユーリ・プリセツキーの大ファンなの忘れてた…」

「おい、豚、こいつ誰だ？俺のファン…?」

俺のファンという言葉に、若干身震いしたが、まだシニアデビューもしてないのに、日本人で俺の事を知ってる奴がいるとは思わなかった。

「あー、この子は僕のいとこでAっていうんだ。…君のファン…というか、美少年オタク？…」

美少年オタクー？なんだそれ、気持ちわりぃ。
俺のファンならこんなところで鼻血出してぶっ倒れてる腰抜けはやめろよ。

そんな事を思っていると、そいつがむくりと起き上がった。

日本人とは思えないほどの明るく綺麗なブラウンの瞳に雪のような白い肌をもつそいつは、顔立ちは悪くなく…というか結構美形で、目を覚ますなり俺の顔をじっと見つめてくるから不覚にも少しドキッとしてしまった。

「…あくしゅ…握手お願いできますか？」

さっきの行動のアホっぷりからは想像もできないめちゃくちゃ綺麗な英語。
握手？別にそれくらいならやってやる。

「ん」

俺が手を出すと今にも壊れそうなものを触るかのようにわなわなと俺の手を取った。

「わぁー！ありがとうございます‼大ファンなんです‼」

満面の笑みを浮かべて俺を見上げるその顔にほのかに熱を感じながら俺はそっぽを向いた。