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晩ご飯に叔母さんが出してくれた最高においしいカツ丼を頬張りながら、私は目の前でものすごい光を放つ私一押しの美少年を見つめてクラクラしていた。ああ、本当に目の前にロシアの妖精がいると思うと信じられない。このまま何時間でも見つめてられそう…。
「それにしてもさー、Aはシニア世界王者の俺のことは知らなかったのになんでジュニアのユリオのことは知ってるのー?」
さっきオタク仲間の勇利のお姉ちゃんによって命名されたユリオという名前がすっかり板に染み付いてしまったヴィクトルは少し不満げな顔でむくれて見せた。
「いやぁ、たまたまね、ちょっと可愛いなーっと思った子を世界ジュニアで発見しちゃったんだよー。それからユーリのことはネットで調べたけどフィギュアには元々興味ないからユーリ以外は知らない!ごめん!」
「いや、調べたって…俺の情報どんなのが乗ってんの?」
もう遅いかもしれないが、ユーリには変態と思われたくない。ここはどうにか誤魔化さねば。
「んー、まぁいろいろ!」
「怖っ…」
「Aちゃん、本当にユリオがすきだもんねー。」
「A、ちょっとは俺の事もしらべてよー!」
スネてしまったヴィクトルを置いて、私はカツ丼を食べ終えたので、そそくさとおいとまする。これからやらねばいけないことがあるのだ。
叔母さんが貸してくれた私の部屋に入ると、すぐさまお風呂に行く準備をした。美少年と一つ屋根の下、そしてここは温泉!
となるとやはりやるべきことはただ一つ!
「よし!」
温泉内は撮影禁止だというのに、片手にスマホを持ち私ははりきって温泉に向かった。
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「実に残念だ。」
ゆーとぴあ勝生は決して新しい温泉ではないので、男湯と女湯を分ける敷居の木の板にひとつくらい覗き穴はあると思っていた。
わざわざ探すために早く温泉入りに来たのに、これでは意味がない。だが、今日は運のいいことに女性のお客さんがいないから、私が自由に温泉内ではしゃげるのだ。こんな絶好のチャンス、逃すわけにはいかない。私は気合を入れ直すと、もう一度木の板に必死にへばりついた。
「…あった!」
数分後、失敗かと思われていた私の作戦は案外あっさりと成功した。よく見ればあるではないか、本当に極々小さな穴ではあるが、覗くのには十分だ。(※一生懸命やってるように見えますが、ただの変態行為です)
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作者名:蒼葉 | 作成日時:2017年3月8日 20時