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廊下を歩いていく2人の後を、物陰に隠れつつ一定の距離を保ちながら追い掛ける。
やがて2人は、壁一面が大きな窓ガラスになっている、庭に面した休憩スペースで足を止めた。息を殺しつつ、観葉植物の影からそっと様子を伺うことにする。
「─ほう、中々のモンだな。」
「口にあったようで何よりだ。コーヒーの淹れ方は、とある人にみっちり鍛えられたからな。」
「インスタントでこれ程なら、その内豆から作ってもらいたいもんだな。」
「機会があれば、また。」
…おお。ウルフさんが喉を鳴らして笑ってる。上機嫌に見える彼は、昼に試合で子供組にアイテムで猛攻を食らってキレていた人と同一人物とは思えない。
そして私の勘違いでなければ、何かウルフさんから出た、ような。あれは─音符?そんなばかな。
「─さて。それで、本題なんだが。」
「ああ─そうだったな。」
ふと、2人の纏う空気が変わった気がした。夜の静けさを孕んだ穏やかな空気が、何処か肌を刺すようなぴりりとしたものになる。
思わず、ごくりと生唾を呑んだ。そうして、暫く黙り込んだ2人が、徐に懐から銃とブラスターを取り出した時…思わず出掛けた悲鳴を飲み込んだ。
─そして話は、一つ前の冒頭へ戻る。
な、何が起こるんだ…もし何かあれば私が止めなきゃだけど、正直勝てるビジョンが見えない。ボコボコにされそう。誰も知らない内に海の底に沈められてそう。
あらぬ事を考えながら、どうかその銃口がお互いに─そして願わくば、私にも向きませんようにと祈っていると……不意に、レンズ越しの瞳と目が合ったような気がした。
「へ?」と思ったのも束の間。「居るんだろう?気づいてた。」というジョーカーさんの言葉に、完全にバレている事を悟って─何だか申し訳ない気持ちの中、私はすごすごと観葉植物から離れた。
「は、A?お前、何でここに…」
「実は食堂に居た時からだろう?」
「そうです…というかなんで気づいて…あと言ってくれれば…」
「サードアイは便利だ。…それに、気遣ってくれている様な気がしたから。有難く甘えさせてもらった。」
サードアイ…ジョーカーさんが試合以外で偶に使う不思議な力だ。何でも、見えないものが見えるとか。
ふ、と笑うジョーカーさんをジト目で見ながら、聞いておきたかったことを聞いてみる。
「そう言えば、何をしようとしてたんです?いきなり空気変わって銃出して…もしもを考えるくらいにはビビりました…」
「ああ、それは─」
→
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麗 - マヨナカコープ、ありがとうございます!ジョーカーとウルフ、どちらも好きなキャラなので、ありがとうございます! (2019年9月28日 20時) (レス) id: d0864ff377 (このIDを非表示/違反報告)
麗 - 全然!1年経ったって、(?)いくらでも待ちます!頑張ってください、応援してますよ、チイチさん! (2019年9月15日 15時) (レス) id: d0864ff377 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - 麗さん» はい、麗さんこんにちは!(^^) リクエスト有難うございます!喜んでお受けします!ただ、日替わりの消化も済んでいないので完成は少し先かも知れません…どうか気長にお待ち頂ければと…! (2019年9月15日 13時) (レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
麗 - こんにちは(`・ω・´)麗です(`・ω・´)……はい、こんにちは!あの、リクでウルフとジョーカーが夜の散歩をしているお話を書いて下さい!それを夢主ちゃんが見ちゃった……的な? (2019年9月15日 12時) (レス) id: d0864ff377 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - ロランさん» いえいえ、喜んで頂けたみたいで、とても恐縮です…! 此方こそリクエスト有難う御座いました! また機会があれば、よろしくお願いします(^^) (2019年8月21日 16時) (レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チイチ | 作成日時:2019年1月19日 0時