�察ゾ彳諭△修靴逃� ページ9
「ふぃーあっ！」
すっかりやる気満々のサトシとピカチュウに押される形で、セレナがボールを放る。
美しい触覚を揺らしながら、細身の体躯が高い鳴き声と共に森の地に降り立つ。
双方のポケモンが戦闘態勢に入った事を確認したセレナとサトシの視線が、僅かに交差する。それが、合図だった。
「ピカチュウ、10万ボルト！」
「ニンフィア、ようせいのかぜ！」
「ぴかっ！─ぴぃかぁっ…ぢゅ〜っ！！」
「ふぃぃ…ふぃぁーっ！！」
息ピッタリに出された二人の指示に、ピカチュウとニンフィアがこれまた息ピッタリに応える。
眩い電撃と輝く神秘の風が、ペロッパフの大群へと迫る。そして、直撃するかと思われた─が。
『ぺぇろ…ぺろぱぁ〜っ！！』
「なっ、エナジーボール！？不味いです、あんな大量のエナジーボールと、こちらの技がぶつかったら…！」
─ペロッパフ側が反撃に出た。数十は居るであろうペロッパフ達が一斉に生命のエネルギーを球体の形に溜め始め、気づいたシトロンがサトシ達に何か言うより早く…
─ド、ガァァァッ…！！
エネルギーの塊達は、衝突を起こした。
「えぇっ！？」
「うわぁっ！？」
「きゃっ！」
カッと一瞬大きく光が膨張し、轟音─そして凄まじい衝撃と共に黒煙が上がる。
─うわあぁぁっ！！
四者四様の悲鳴が上がる中、結局二人に声を掛けられなかったシトロンが出来たことは、妹の前に出て、爆発の衝撃から守ることだけだった。
─ぺぇろ…ぺろぉ〜っ！！
爆発の衝撃に驚き、はたまた巻き込まれ、ペロッパフの群れが散り散りになって飛び去って行く。
黒煙が晴れた時、そこには─見事にボロボロになった三人と、比較的無傷の一人…そして、目を回して動けないペロッパフと、それに付き添うもう一匹だけだった。
「げほっ、げほっ…ま、まさかアイツら全員が攻撃してくるなんて…」
「うぅ…髪も服もめちゃくちゃ…ニンフィア、貴女もごめんね？」
「わっ、お兄ちゃん平気！？大丈夫！？」
「こ、これくらい大丈夫、だ、よ…」
各々を労り、相棒の身体を撫でる。
漸く落ち着いた頃、前方からの二つの声に気が付いた。
「ぺぇ…ぺろぉ…」
「ぺろぉっ！ぺぇろっ！」
すっかりダウンしているペロッパフを、もう1匹が必死に起こそうとしている。
その様が気の毒に思え、どうにかしようとサトシ達が腰を上げた、その時。
「─まあ、まあ！これは大変！」
鈴を転がすような耳触りの良い声と共に、その少女は現れたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チイチ | 作成日時：2018年12月26日 0時
