《ポケモンXY&Z》その救済は、誰が為に。《オリジナル劇場版》 (ページ6)

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IV．兄の発明品ページ6

「って、流れでご飯にすることになったけど…食材とかはどうするの？」

山道を少し横に逸れた平地に組み立て式のテーブルを立てながら、セレナが尤もな問を投げる。

その言葉にいち早く反応したのはシトロンであり…そうなる事はまた、何処か皆─問い掛けたセレナもである─察しはついていた。

「ふっふっふっ…ここは僕にお任せを！今こそ、サイエンスが未来を切り拓く時！シトロニックギア、オン！」

眼鏡を怪しく煌めかせながらシトロンが大きなリュックから満を持して取り出した物─それは、四足歩行ロボットと呼べる代物だった。

主に鉄で出来ているが、鼻にあたる部分はボールカプセルの様になっており、中に何かを入れることが分かる。胴体部分も円筒型のケースになっているようで、見る人が見れば相当な値が付くかもしれない…但し、性能がそれに見合えばの話だが。

「食料探査ロボット『キノミミツカール』です！鼻の部分に探したい木の実を入れることで、それと同じ匂いの木の実を探し、耳の部分に内蔵されているアームを使って、お腹のケースに木の実を貯めることができます！」

「おお～っ！よく分かんねえけど、すっげぇっ！」

「ぴかっ！」

「ふふふ…この匂いを探す機能は、カントー地方のジュンサーさんのパートナーとして名高いガーディを基にしているんですよ！」

…例え運動神経が絶望的であり、普段は何処か頼りなさげに見えようとも、彼はミアレジムのジムリーダー。やはり得意分野に関しては天才の域である。

しかし─盛り上がる二人と一匹を他所に呆れた様な、冷めた目を向けるのはユリーカとセレナだ。
旅をして絆を深めて分かるもの…それは、決して良い所ばかりでは無いという事である。

「何か、今回のも凄そうだけど…」

「でも作ったのってお兄ちゃんだしね…」

そんな女子二人の事など露知らず、鼻の部分にモモンのみを詰めたシトロンがマシンの電源をオンにする。

キノミミツカールの瞳に光が灯り、その鼻がモモンの甘い香りを認知すると、トコトコと横道へと歩き出した。

「こっちにあるみたいです！行きましょう！」

「りーまっ！」

動き出した自身のメカに興奮した様子で、シトロンがハリマロンに丈の高い草を切って貰いながら後を追う。

その後に同じく興奮した様子のサトシ、ピカチュウが続き、呆れ顔のユリーカ、セレナがそれでも彼等の後を追って横道へ入った。

…唯一テーブルの上で丸くなり眠っていたデデンネだけが、そこに残された。