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坂田くんを追って教室を出る。
坂田くんは既に人混みへと飲まれていた。
そ、そもそも後ろから追っても気づいてもらえないよね…
小さくため息を溢した後、とぼとぼと新しい教室へと向かう。
注目を浴びたくないため、私は後ろの扉から教室に入る。
黒板には座席が書いてあり、私は自分の席を探す。
ぁ、あった。去年よりも若干坂田くんと近い…!
私は自分の席へ行く。
坂田くん、私のこと覚えてくれてるかな…
覚えているかもしれない、という淡い期待を持ちながら席へ着く。
それとほぼ同時に今年の担任が教室へと入ってきた。
長かったHRが終わり、各々友達と下校を始める。
私は坂田くんの方をちらりと見る。
やっぱり覚えてないよね……
そう思いながらしばらく見つめていると、ふと坂田くんと目が合った。
……え、目が合った!?
心の中で戸惑っている間に、坂田くんが私に近づいてくる。
ま、まだ心の準備が……!
「緋守さん、やんな?去年同じクラスやった」
坂田くんが私に問いかける。
「そ、うです…」
素っ気ない返しになってしまっただろうか…。
私は緊張で泳がせていた目を坂田くんに合わせる。
「一緒に帰らん?あ、俺の友達も居るんやけど平気…?」
い、一緒に帰る…!?今日だけで色々進みすぎぃぃぃ……!
私がぼーっとしていると、坂田くんは心配して「おーい、大丈夫ー?」と目の前で手を振ってくる。
「ぁ、だ、大丈夫です…!」
「良かったぁwんじゃ帰ろ!!」
に と笑って私の手を引く。
「っ…………!?」
私は声にならない悲鳴を上げるのだった。
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作者名:暁の天 x他1人 | 作者ホームページ:んなもんない( '-' )
作成日時:2020年11月23日 23時