3 ページ3
渉の笑顔にホクホクしていた俺は
「あ、ガヤが落とされてる」
「ガヤさん、萌えてるね」
そんなことを言いながら、玉と宮田がその場を離れたことに全く気付かなかった。
撮影は順調に進み、全員での撮影が終わり、2人ずつ、3人ずつで撮影し始めた。
今は玉と宮田ペアで撮影している。
「マジあっちいな」
ニカが扇風機の前で涼んでいる。
「エアコンついてるけど、ライトが暑いよね」
健永も首筋をタオルで拭いながら、椅子に座る。
「そんな暑いかな?」
渉は汗一つかいていない。
「え!暑くないの?横尾さん」
健永がタオルで拭く手を止めて、驚いている。
「ライトが当たってる間は眩しいな、とか少し暑いかな?って思っけど、こっち来たら全然。ニカの扇風機の風がつめてーもん」
するとすかさずニカが
「師匠、身が薄いから」
つっこむ。
「しゃねーじゃん、汗かいたやつが扇風機で冷やされてマジさみぃもん」
そう言うと、準備されていたタオルを肩に羽織った。
「ニカも健永もさ、せっかく差し入れしてもらったんだからアイス食べたら?」
「そうだそうだった。差し入れ♪差し入れ♪」
変な節をつけてニカがクーラーボックスへ向かう。
「あれ?ミツは?」
ちょっと前まで居たはずなのに、渉が小さく呟く。
「キタミツはマネージャーが連れていった。多分、取材」
健永の声にかぶさるように
「あれだよ、あれ。今度出演する番組の番宣?雑誌に載るんだってさ」
ニカの追加情報。
「忙しいねぇ、北山さんも」
しみじみとした口調で渉が言う、その口調に笑ってしまう。
たまに出る、ワタ子仕様で。
さっきまでキレキャラだったのが、突然のおば様仕様。
その切替ポイントがどこにあるのか、本当にわかんねぇ。
だから、面白い。
渉の謎だ。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←2
46人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨音 | 作成日時:2017年7月4日 15時