星月先生はスランプ中！？【オリジナル】 (ページ9)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:861 hit

第九話ページ9

咲良は、振り向いて私を見ると一瞬目を見開いた。

すぐに前を向いて走っていく。

「待って…。私の話を、聞いてっ…。」

私は必死に走った。

「咲良っ‼」

すると、咲良が立ち止まった。

「見たら分かると思うけど、あたし今カラオケしてんの。邪魔しないで。じゃあね。」

ぶっきらぼうにそう言うと、ドアを開けて部屋に入った。

私はドアをおさえて咲良をまっすぐ見つめた。

「待って。伝えたいことがあるの。話を聞いて。」

「しつこいよ。」

咲良は、冷たく言い放つと、私をにらみ返した。

今まで見たことがない咲良だった。

もう、あきらめようと思った。

でも、せっかくのきっかけを無駄にしたくない。

私は部屋に入ると曲を入れた。

明るい曲が流れる。

『～怒られてる時も二人一緒だと笑えてきちゃうねいつもありがとう感謝してるよ』

バッグから一冊の本と封筒を取り出す。

「隠し事はなしねって言ってたのに、小説書いてるってこと秘密にしててごめん。
　私が書いてる話、私たちのことをモデルにして書いてるんだ。
　見せたかったけどちょっと恥ずかしかった。咲良に何て言われるかなって不安になった。
　だから、秘密にしてたんだ。咲良は私のこと嫌いかもしれないけど、私は咲良のこと大好きだよ！」

今の私の気持ちを正直に伝えた。

やっと、言えた。

自然に涙がこぼれてくる。

泣いてるせいで何を言ってるか分からなくても。

サビはしっかり歌いたい。伝えたい気持ちをぎゅっと詰め込んで。

『好きだよ好きだよ理由はないけどずっと好きだよバカみたいなことして笑わせてくれる君が大好きだよ大好きだよ悩み事は二人で分け合おういくつになっても好きだよずっと笑顔でいようね』

「これが、私の気持ち。この手紙と小説も読んで…くれる？」

咲良を見ると、下を向いて黙っていた。