逢魔時～時を越えた絆～8 (ページ44)

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～小山side～

暗雲に覆われているせいか、月が見えない

月明かりがないって、何だか不気味だな・・・

庭に出ると、桜の木の前にシゲが立っていた

小山「シゲー！」

手を振りながら駆け寄ると、シゲは人差し指を口元に添えて静かにするよう訴えた

加藤「夜なんだから大声を出すな」

小山「・・・ごめん」

シゲは俺を注意すると、視線を桜の木に向けた

そういえば、シゲはよくこの桜をAと一緒に眺めているな

小山「Aもシゲも、この桜が好きだね」

加藤「・・・西行法師と関わりがあるからな」

小山「前世の縁・・・かあ・・・」

思えば時を越えてまたAに会えたのって、本当に奇跡的だよな・・・

ふとシゲの方を見ると、いつの間にか俺の方を向いていた

小山「・・・どした？」

加藤「Aって、砕けた言葉遣いもするんだな」

唐突にそう言われ、俺はキョトンとした

小山「敬語を使わないってこと？」

加藤「ああ、お前とAが一緒に帰ってきた時、二人の会話が聞こえたんだ」

Aが俺にだけ敬語を使わないのは前世からの繋がりみたいなもので、彼女は基本的に誰に対しても敬語で話す

小山「俺が特別なだけだよ」

加藤「・・・特別・・・か」

何気なく言った言葉だったが、それを聞いたシゲは少し寂しそうな表情をした

小山「シゲ？」

加藤「・・・正直言うと羨ましいかったんだ、お前がAと仲良くしているの」

小山「え？」

加藤「本当はもっとAと話したいのに、俺・・・積極的に話しかけるのが苦手だから・・・」

俺やまっすーや手越には普通に話しかけるのに・・・

積極的に話せないってより、Aに話しかけるのを少し躊躇っているように感じた

とはいえ、シゲがずっと俺とAが一緒にいる時に様子がおかしかった理由がやっと分かった

もっと早く、気付いてあげていれば・・・