act21-23 ページ42
加藤さんの目が、ゆっくり開く
小山「シゲっ！」
加藤「・・・小山・・・」
まだぼんやりしており、目の焦点も定まっていないようだ
小山さんは心配そうに加藤さんを見つめている
小山「ごめんな！本気とはいえ、流石にやり過ぎたよな・・・」
加藤「・・・いいんだ、お前は何も間違ってねえよ」
加藤さんの言葉、そして表情は優しかった
加藤「お前の気持ち、伝わった・・・」
小山「シゲ・・・」
加藤「・・・本当に・・・悪かったな、小山、Aも・・・」
「いえ、私は・・・」
首を横に振りながら、小さな声で言った
体はボロボロだったけど、加藤さんの笑顔は穏やかだ
加藤「お前の勝ちだ、小山」
小山「・・・うん」
加藤「・・・A」
加藤さんに歩み寄り、屈んで目線を合わせる
加藤「Aの退魔の力を吸い尽くすか、大禍時を防ぐ結界を展開しないと、結界柱は止まらないんだよな？」
「はい・・・」
加藤「・・・残念だけど、俺にはどうすることも出来ない」
加藤さんは顔を下げ、悔しさを滲ませた
しかしすぐに、力強い眼差しでこちらを見る
加藤「せめてAの負担が軽くなるよう、全力でサポートする、だから・・・その・・・」
なぜか加藤さんは恥ずかしそうに顔を背けた
加藤「遠慮せず・・・頼ってくれ・・・」
「はい！ありがとうございます」
小山「勿論俺もAを支えるよ！」
加藤さんとは対照的に、小山さんは真っ直ぐ私を見つめて笑顔で伝える
加藤「本当にごめん、俺が間違ってた・・・」
「でも、加藤さんの気持ち、嬉しかったです」
私は加藤さんの手にそっと自分の手を添えた
驚いたのか、加藤さんの手がピクリと反応する
「これからは一人で抱え込まないで、相談してください、私も加藤さんの力になりたいですから」
加藤「・・・あ、ああ・・・、ありがとう・・・」
小山「・・・シゲ、照れてる」
小声でそう言った小山さんを、加藤さんはキッと睨んだ
本当に良かった・・・
二人が分かり合うことが出来て・・・
まあ、喧嘩していた訳ではないし、元々仲が良かったしね
それにしても、彼らの戦い、思わず見入ってしまった
凄くかっこよかったし、いつの間にか私まで手に汗を握っていた
彼らと一緒なら、きっと大禍時だって止めることが出来る―――――
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作者名：天照 | 作成日時：2019年10月12日 18時
