act21-22 ページ41
〜加藤side〜
うっすらと、意識が戻ってきた
だけどまだ頭がぼんやりする
体も、動かない
・・・負けたんだな、俺は・・・
敗北はすなわち、成そうと思っていたことを阻止されたということ
やり遂げることが・・・出来なかった
なのに不思議と、負けたことを受け入れる気持ちがあった
・・・本当は始めから理解していた
自分がしようとしていることがどれだけ愚かなことで、Aもそんなことを望んでいないって・・・
だけど、引き下がることが出来なかった
そして戦っているうちに、小山の強い想いが伝わっていた
本気で俺を止めたいと思っていること
本気で・・・Aを救いたいと思っていることも・・・
小山だって俺と同じ、Aを助けたいだけなんだ
俺は一人で決断してしまったけど、小山には・・・Aがいる
彼女が間違ってるって指摘すれば、ちゃんと受け入れる
・・・力の差に関係なく、俺が勝てなかったのは、当然だったのかもしれない
小山は、Aの想いも乗せている
Aも小山同様、俺にこんなことやめてほしかったから・・・
俺は自ら、Aを突き放すようなことをしてしまっていたんだ
彼女の優しさに気付かないふりをして、勝手に突っ走って・・・
けど、小山は違う
あいつはいつだって、Aの気持ちを尊重し、彼女に寄り添って支えていた
ずっと自分の気持ちを誤魔化してきたけど、今なら素直になれる
俺は・・・小山が羨ましかった
大切な人のそばにいられるあいつを、羨望していたんだ・・・
俺にとってもAは、大切な人だ
前世や西行法師との繋がりでなく、何だか一緒にいると・・・心が温かくなる
だけどなぜか、歩み寄る勇気が出せなかった
だからAといつも一緒にいる小山を見ていると、心が苦しくなったんだろうな
・・・それだけじゃないような気もするけど・・・
自分でも正体の分からない、けれど決して心地が悪くない感情を、Aに抱いているみたいだ・・・
・・・今はその気持ちは置いておこう
心が晴れ、頭がはっきりしてきた
ごめんな・・・、小山
お前の本気、確かに伝わったよ
止めてくれて・・・ありがとう
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作者名:天照 | 作成日時:2019年10月12日 18時