act21-21 ページ40
目まぐるしく繰り広げられる戦いを、私は目で追うのに精一杯だった
直感で動いているのではないかと思うほど、二人は攻撃の後、次の行動に移るのが早い
加藤さんの攻撃で地面に落下した小山さんは、すぐに立ち上がって地を蹴った
尚も血が滴る、その足で・・・
二人の距離が詰まる寸前で、加藤さんが何かを前に突き出した
先が鋭く尖った、木の枝だ
勢いよく接近していた小山さんには、それを回避することは不可能だと私にも分かる
咄嗟に取ったとは思えない行動を、小山さんはしていた
加藤さんの持っていた短剣の様な木の枝を、小山さんは折っていた
・・・驚いたのは、その方法である
小山さんは右手に、蝶を集めて纏っていた
これは先程も行っており、加藤さんの攻撃によるダメージを軽減している
木の枝は、そんな小山さんの右手を貫いていた
小山さんは手に枝を刺したまま腕を振るい、無理矢理枝を折っていたのだ
木の枝は未だ小山さんの掌を貫通している
その行動に私だけでなく、加藤さんも驚倒していた
一瞬の隙を、小山さんは逃さない
加藤さんの腹部に左手を添えると、そこが紅く輝きだした
先程同じ場所を攻撃した時とは異なり、加藤さんの全身を包むほどに真紅の光が広がる
加藤「しまっ・・・！」
反応する余裕を与えず、衝撃波が至近距離で炸裂した
加藤「・・・ぁ・・・！」
小山さんの攻撃で加藤さんは背後の桜の木に叩きつけられ、その衝撃で木が倒れる
神通力に耐性がなければ、骨や内臓が損傷していただろう
小山「はあ・・・はあ・・・」
激しい呼吸を繰り返しながら、小山さんは加藤さんから離れる
小山さんの強烈な一撃を受け、加藤さんは気を失っていた
決着はついた
けれどまだ、問題が完全に解決した訳じゃない
私と小山さんは、加藤さんが目を覚ますのを待った
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作者名：天照 | 作成日時：2019年10月12日 18時
