act21-19 ページ38
〜小山side〜
シゲの言葉で、俺は自分がまだ迷っていたことに気付いた
本気で戦っているつもりだった
全力をぶつけていたと思っていた
けれど僅かな迷いが、俺を鈍らせていたんだ・・・
シゲはそんな俺の異変を感じ取っていた
流石だなと感心しつつ、申し訳ない気持ちが芽生える
シゲに俺の想いが届かないのも、当然だ
迷いを捨て、今度こそ本気でぶつかる
シゲを傷つけることは心が痛いけど、今シゲを止めなければ彼はもっともっと傷つくことになる
俺は、シゲも、大禍時も止める！
光で視界を遮り、頭上から赤い蝶で攻撃した
地面が弾け飛ぶほどの衝撃で、光が消えるとシゲは倒れていた
だけどすぐに立ち上がり、俺の周りから木の根を出現させて攻撃してくる
衝撃波で木の根を一気に払うと、間髪入れずシゲは桜の花びらを放ってきた
桜吹雪で体が傷つくのも構わず、シゲに接近する
目の前に桜の木が突き出てきた
寸前で足を止めたけど、激突していてもおかしくなかった
瞬間、木の幹から鋭い木の枝が伸びてきて、俺の体を裂いた
傷は浅いけど、滅茶苦茶痛い！
落ちついた表情で平静を装うけど、正直泣きそうだ・・・
右手で握り拳を作り、そこに紅い蝶を集める
俺の右手が紅く輝いているように見えるが、見えるだけだ
まっすーのように攻撃力が上がる訳じゃない
だけど退魔の力で形成された蝶を纏っているため、僅かだが神通力に対して耐性がある
木から伸びてきた枝を、右手で受け止めた
思った通り、ダメージが軽減されている
反対の手を突き出して衝撃波を放ち、木を消し飛ばす
そこにシゲはおらず、桜の花びらだけが舞っていた
周囲を無数の蝶で囲み、どこから攻撃が来てもいいように備える
あらゆる場所からの攻撃を想定していたが、それは全て無駄だった
小山「っ！！があっ・・・！」
足を貫かれたような激痛が走る
視線を下げると、地面から突き出た棘状の枝が俺の足を斬り裂いていた
油断していた、下からだろうとシゲは攻撃出来る
何度も見てきたはずなのにどうして考えが回らなかった！？畜生ッ・・・！
これでは歩いたり走ったりはおろか、立っているのもやっとだ
けど残念だったな、シゲ、俺は地に立っていなくても戦えるんだよ・・・！
退魔の力が背中に集まり、紅い蝶の羽に変化する
羽が上下に動き、俺は上空へ飛翔した
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作者名：天照 | 作成日時：2019年10月12日 18時
