act21-13 ページ31
数日後、私と小山さんは結界柱の前で加藤さんを待っていた
自分が戦う訳ではないのに、私は緊張で落ち着かない
しばらくして、加藤さんが姿を現す
小山「シゲ・・・」
加藤「・・・Aと一緒か」
「私は手出しはしません、お二人の戦いが避けられないのなら、・・・仕方がありません」
小山「シゲ、最後にもう一度確認させて、考えを変えるつもりはないのか？」
加藤「・・・本当は聞かなくても分かってるだろ？力尽くでも、俺は成し遂げる」
小山「だろうね」
二人の鋭い眼光がぶつかる
私は二人を交互に見て、一歩下がった
加藤「小山には・・・方法があるのか？Aを救う手段が・・・」
小山「悔しいけど、現段階ではない、けど大禍時を防ぐ結界が展開されれば、Aから退魔の力を吸収しなくなるはずだ」
加藤「それまで・・・Aに耐えろっていうのか？」
小山「Aだって戦ってるんだ、だから俺は彼女を支える、柱が結界を作り出すその時まで、Aが極力退魔の力を使わないようサポートする」
それが、小山さんが成し遂げたいと願う強い決意
加藤さんは一旦視線を下げ、私の方を向いた
加藤「・・・これは俺達の戦いだ、Aは・・・無理してここにいる必要はない」
「確かにお二人の戦いを見ているのは辛いですが、小山さんが全力を出すためにも、私はここにいます」
加藤「え？」
小山「Aは俺の契約の媒体なんだ、彼女が近くにいなければ、俺は力を発揮出来ない」
そのことを知らなかったのか、加藤さんは大袈裟と思えるほど驚いている
「とはいえ小山さんを贔屓する訳ではありません、戦いの末にお二人が納得した結果を受け入れます」
私自身は加藤さんに考えを改めてほしいし、小山さんの想いと同じ、皆さんと一緒に大禍時を止めたい
だけどそれはあくまで私の気持ちであり、この勝負で小山さんに勝ってほしいという訳ではない
小山さんと加藤さんが互いに合意して決めた答えに、私は従う
加藤「・・・そっか・・・」
どこか寂しそうに、加藤さんが呟く
二人の退魔の力が高まったのが分かった
加藤「・・・行くぞ、小山」
小山「応、全力で来い！シゲ！」
加藤「言われなくてもそのつもりだ！」
小山さんの周囲を真紅の蝶が、加藤さんの周囲を桜の花びらが渦巻く
無数の蝶と桜がぶつかり合ったその瞬間、譲れない想いを懸けた二人の戦いの幕が上がった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天照 | 作成日時：2019年10月12日 18時
