act21-4 ページ19
〜小山side〜
結界柱のことを聞いて、何か出来ることはないか必死に考えた
・・・大禍時を防げるだけの結界、それを展開するために必要な退魔の力が備われば、もうAから力を吸収することはなくなるのではないか
Aが全ての記憶を取り戻したことにより、俺の記憶の封印も完全に解かれた
Aを守り、散った前世のことも
あの時の行動に、後悔はない
思えばあの時、ただの蝶だった俺があれ程の力を出せたのは、近くにいたAの退魔の力が共鳴したから
いわば俺の力は、あの時のAの力をそのまま授かっているようなものだ
俺とAの力の波長が同じだったのは、それが理由だったのか・・・
覚醒した力が強大だったのも、西行の力を直に受け取ったのだから、納得出来る
だとしたら、俺の退魔の力を結界柱に与えることも可能なのでは・・・？
・・・そういえば、Aと一緒に結界柱に向かい、彼女が退魔の力を与える時、俺はなぜか体力が吸い取られたように疲れていた
今なら分かる、結界柱がAと同じ退魔の力を持つ俺の力を、彼女の力だと認識して吸収していたんだ
与える力が分散されたから、Aは柱に力を蓄えても負担が少なかった
そうだ・・・、俺が代わりになればいいじゃないか
自分の退魔の力を全て与えれば、結界柱はAの力を吸収し尽くしたと認識して、彼女から力を吸い取らなくなるはずだ
けれど俺の様な妖魔にとって、神通力は生命力そのもの
それを全て失ってしまえば、当然・・・
・・・それでもいい、Aを救うことが出来るのなら
この身に代えても、Aを守る
あの時と同じように
俺の決心が皆に悟られないよう、今日一日、普段通りに過ごした
翌日、俺は朝早く神社を出て、結界柱に向かう
大禍時が近くなり、その影響で雲は黒く染まってしまっていた
結界柱に辿り着き、手を添える
恐怖も迷いもない
心にあるのは、揺るぎない決意
―――さあ、俺を喰え！結界柱！
好きなだけ・・・俺の力を奪え！
結界柱が白い光に包まれる
体から力が吸い取られていくのが分かった
視界が暗くなり、次第に立っているのも辛くなってきたが、俺は手を放すことはなかった
このまま果てようとも、俺は―――――
・
「やめて！！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天照 | 作成日時：2019年10月12日 18時
