逢魔時～時を越えた絆～8 (ページ17)

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act21-2 ページ17

～増田side～

昨今のAちゃんは、倒れてしまう前からとても体力を消耗し、疲労が蓄積していた

彼女のそんな変化は皆感づいていたが、原因は分からない

俺達は先代巫女様の話の続きを待った

母「Aさんの疲弊の原因、それは・・・結界柱です」

結界柱？

大禍時を防ぐ結界を張るための柱のことか

Aちゃんは大禍時に備え、常日頃から柱に退魔の力を蓄えている

もしかして、結界柱に過剰に力を与えて、自分の退魔の力が枯渇してしまったとか・・・？

手越「結界柱に・・・退魔の力を与え過ぎたんですか？」

手越も俺と同じことを考えていたようだ

けれど先代巫女様は首を横に振った

母「Aさんは普段通り退魔の力を与えたはずです、変化があったのは・・・結界柱の方です」

結界柱に何かがあった？

俺は以前、Aちゃんと一緒に結界柱に向かった時のことを思い出す

何か変わったことといえば・・・

増田「・・・そういえば、結界柱から青い光が放たれていました、今までそんなことなかったのに・・・」

母「大禍時が近づき、柱にも影響が出たのでしょう」

加藤「一体・・・結界柱に何が・・・？」

母「柱が自動的に・・・退魔の力を吸収し始めたのです」

俺達は驚きを隠せず、唖然とした

母「Aさんの意思に関係なく、結界柱がAさんの退魔の力を吸い取ってしまったのです」

小山「どうして・・・そんなことが・・・」

母「結界柱自ら、強大な結界を作り出すための退魔の力を、大禍時までに集めようとしているのかもしれません」

Aちゃんは知らぬ間に、結界柱に退魔の力を奪われていたんだ

それじゃあ最近のAちゃんは、常に退魔の力が不足している状態だったのか・・・！？

そんな状態で無理をすれば、体が持たないに決まっている

彼女は小さい体で、どれだけ頑張ってきたのだろう

結界柱に一緒に向かった時に、俺が柱の異変を先代巫女様に伝えていれば、何か変わっただろうか・・・

少なくとも、Aちゃんが何も分からず苦しむことはなかったはずだ

増田「Aちゃんの退魔の力を全て吸い尽くすまで・・・、結界柱は止まらないのでしょうか・・・？」

先代巫女様は顔を下げ、答えなかった

だけど俺達全員、彼女が言葉にしなくても理解している

残酷な事実に全員言葉を失い、部屋中が静寂に包まれた