第二十六話「初めて会う令嬢」 ページ27
「グルちゃん！早く！」
『わかってる！』
廊下をバタバタと慌ただしく走っていく。服を選んでいる間に婚約者はやってきたらしく、今は中庭で待機しているようだ。
自然と足が早くなる。先日送られてきた本の話がずっとしたかった。俺を思ってプレゼントを送った少女がどんな人か、早く見たかったんだ。
中庭には見覚えのない人影があった。
いつか読んだ物語に登場するような姫の描写と同じ綺麗な白髪に、空を集めたような透き通った瞳、本を読んでいる姿はとても美しい。傍らには鬱達にも負けない美少年がいた。
あくまで慌てないように、落ち着いて。
『態々来てもらったのに、遅くなってすまない』
深呼吸をして話しかける。
本に向かっていた視線が俺を見る。吸い込まれそうだった。お互い自己紹介をして鬱が話したいことがあるからと任せる。緊張していたのか、話したことがある人物の登場によってか、少しだけ安心しているような感じだ。
俺には緊張していたのに、鬱にはそうやって話すんだな。
『木に登ったそうだが大丈夫か？』
大人気ないと思った。後ろにいる二人の執事はジロっと彼女を見る。しかし彼女の答えはやはり予想外のものだった。
「伝えることでは無いと黙っていた私が悪いですから。」
貴族が木に登ることは普通ではない。否、ご法度と言った方が正しい。怪我もするから危ないし。それでも彼女は恐れずに、それが当たり前のことだと言うように話す。
『読んだのか…？』
意見を尋ねれば彼女は全て応えた。普通、貴族は本は読まない。読むとしても彼女の後ろにいる召使いにでも読んでもらえばいい。そういう考えを持つものが多い。けれど彼女は、本の表紙を撫でながら言う。
「確かに、読ませるという手もあると思います。ですが私は、そんな事をして読んだ本のどこが面白いのか、と思ったのです。」
嗚呼、本当に彼女は面白い女だ。こんな意見を言うものが居たとは。しかも彼女は、俺に送られた本は召使いのお陰と言う。
こんなにも謙虚で、自分の意見をきちんという令嬢は初めてだ！
益々彼女に興味が湧いた。
送られた本はもう持っていると言えば青くなり、どの場面が好きか尋ねれば赤くなりながら自分なりの意見を述べる。
表情がコロコロ変わって面白い女だと思った。
第二十七話「別れ際のまたね」→←第二十五話「顔も知らない婚約者」
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loW(プロフ) - 兎さん» それについては前にもご指摘されたことがあります。その時にも実際に確認した所、内容が酷似する所があり、幾つか修正致しました。結論としましてはパクリではありません。ご友人の方にオススメして下さったのに、大変申し訳ございません。 (2023年1月21日 8時) (
レス) id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
兎 - （続き）たしかに内容が酷似していました。たまたまだったり参考にしただけと言うにはあまりにも似すぎています。ほんとうにパクリなのですか？ (2023年1月21日 7時) (レス) id: 05be321f09 (このIDを非表示/違反報告)
兎 - lowさんの作品、いつも楽しく拝見させていただいてます。この前、友人にこの作品を進めたところ、「pixivで掲載されているwrwrd！の二次創作『もしかして:悪役』のパクリ」と言われてしまいました。実際に読んでみたところ (2023年1月21日 7時) (レス) @page22 id: 05be321f09 (このIDを非表示/違反報告)
loW(プロフ) - ピット☆さん» 教えて頂きありがとうございます。youtubeをコピーし、Googleで検索したところきちんと出てきましたが、こちらの不手際が原因ということもあります。早急に貼り直したいと思います。 (2022年10月29日 17時) (レス) @page49 id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
ピット☆(プロフ) - 同様に飛ぶ事が出来ず、動画投稿のツイートからやっとyoutubeのチャンネルページ等に飛べましたのでもしかしたらURLを貼り直す方がいいかもしれません💦 (2022年10月29日 11時) (レス) id: 9c7661f737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：loW | 作成日時：2022年9月29日 19時
