第十三話「穢らわしい子」 ページ14
シャル 視点
生まれた意味が分からなかった。
自分は平民の母の元から生まれた。父は知らなかった。母は心当たりがあるようだったが、何も言わなかった。自分は幸せだった。母に愛され、その友人に愛され、幸せだったのだ。
母が死んでしまうあの時までは。
元々平民だから環境はあまり良くなくて、子供を産んでしまった事も災いしてか、母は物心ついた頃から咳ばかり繰り返していた。分かってはいたつもりだが悲しかった。
母の友人は代わりに面倒を見ると手を差し伸べた。けれどその手は掴まなかった。頼ってばかりでは、ダメになってしまうと思ったからだ。
母が亡くなって１ヶ月が経ったある日、豪華な衣服を身に付けた男が訪れた。その人は父だと言って、自分の名前は取り上げ、シャルルという名前を与えた。母が一度だけ教えてくれた名前だった。自分には貴族の血が流れていた。
新しい親は母のように優しくなかった。ただ、自分の血筋を多く管理したいだけだった。既にいた兄は穢れた血だと罵った。
そんなある日、親の命によりある貴族の子供の世話を見るよう言われた。彼は自分の身なりを見ても何も言わなかった。少しだけ、息が出来た気がした。その頃から、彼と話すことだけが生きる楽しみになっていた。
「卑しい血」
違う。
「穢らわしい」
違う！
「汚い子」
違う！！
だって、幸せだった。母がいて、友人がいて、毎日話して、楽しくて、だから、罵られても、別に。
本当に？
その頃から何も分からなくなっていた。彼は心配してくれた。けれど、それすら裏があるのでは無いかと思ってしまった。休日を貰ったのに兄から虐められ、大切なものも無くしてしまった。もう、どうでもよかった。消えてしまえたかった。
そんな時に、現れたんだ。太陽みたいに綺麗な女の子。今まで見たどんな人より綺麗なその子は、泣いて自分の名前を尋ねた。
『えっと、シャ、』
本当の名前を言おうとしたが口を噤む。その子は自分のことは知らないようだった。
『シャル！』
少しくらい、『僕』として接して貰いたかった。次にその子は泣いていた理由を尋ねた。頷くと彼女は上を見た。
「あったよ！」
上を見る。枝に掛かるようにペンダントがあった。大きな木に、否定されているようだった。貴族は、平民の真似はしちゃいけない。だから、木なんか登れない。それなのに彼女は、なんの躊躇いもなく木に登った。
第十四話「たった、それだけ」→←第十二話「木の上のペンダント」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 621人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
loW(プロフ) - 兎さん» それについては前にもご指摘されたことがあります。その時にも実際に確認した所、内容が酷似する所があり、幾つか修正致しました。結論としましてはパクリではありません。ご友人の方にオススメして下さったのに、大変申し訳ございません。 (2023年1月21日 8時) (
レス) id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
兎 - （続き）たしかに内容が酷似していました。たまたまだったり参考にしただけと言うにはあまりにも似すぎています。ほんとうにパクリなのですか？ (2023年1月21日 7時) (レス) id: 05be321f09 (このIDを非表示/違反報告)
兎 - lowさんの作品、いつも楽しく拝見させていただいてます。この前、友人にこの作品を進めたところ、「pixivで掲載されているwrwrd！の二次創作『もしかして:悪役』のパクリ」と言われてしまいました。実際に読んでみたところ (2023年1月21日 7時) (レス) @page22 id: 05be321f09 (このIDを非表示/違反報告)
loW(プロフ) - ピット☆さん» 教えて頂きありがとうございます。youtubeをコピーし、Googleで検索したところきちんと出てきましたが、こちらの不手際が原因ということもあります。早急に貼り直したいと思います。 (2022年10月29日 17時) (レス) @page49 id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
ピット☆(プロフ) - 同様に飛ぶ事が出来ず、動画投稿のツイートからやっとyoutubeのチャンネルページ等に飛べましたのでもしかしたらURLを貼り直す方がいいかもしれません💦 (2022年10月29日 11時) (レス) id: 9c7661f737 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：loW | 作成日時：2022年9月29日 19時
