【刀剣乱舞】霊力循環異常症候群Ⅱ型専門医助手 (ページ14)

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そのあとは他愛もない会話をして、半刻ほど経過しあたりで、通吉たちのもとへ戻ることになった。

　「……も……だが…………」

「ですが…………なら……」

　扉を開こうとした瞬間、奥から、ひそひそ話のようなものが聞こえた。

　声のトーンからして、あまり明るい話ではなさそうだ。

　「……なら、Aは……」

　私の名前が出てきて、思わず扉に触れかけた手が止まった。ほんの、一瞬、開けるのを躊躇した。

　「いかがなされたかな？」

後ろを向けば、一期一振が笑っていた。

　……いや、目が笑っていない。

　背筋を、冷たい汗がつたった。

　「いえ、なんでも」

ひきつった笑顔になっただろう。

　怖い。

　ただ、扉の向こうからの会話に私の名前が出ただけ。

　それなのに、どうして怖い？

　一期一振の笑顔も、全て威圧的に感じられて、ただ、何も考えずに扉を開けろと強要されているような感覚に陥る。

　とりあえず、扉を開こう。

　ただ、何も考えずに。

　気合いで扉を開くと、その勢いに審神者と通吉は驚いたようで、少し目を見開いた。

　一呼吸おくと、審神者と通吉は何もなかったかのように笑みを浮かべた。

　「Aちゃん、一期一振。おかえりなさい。もう、診察は終わったわ」

「遅かったな。そんなに会話が弾んだのか」

　示し合わせていたかのような、違和感のない会話の流れ。

　その完璧さが、今の私にとっては逆に怖かった。