-76- 鮮やかな夕焼けは、思い出の香り ページ45
「ジャガイモとニンジンと..あ、あったあった!」
近くのスーパーでカレーライスの材料を買う。
最中にあった近所のおばさんと少しだけ世間話をする。
非日常的な事が日常的になりつつある事を、Aは少なからず嬉しく思っていた。
短いと言われていた寿命も、一般的になり、背中の傷跡を消えかかっている。
退院してから倉間達が南沢家に居候して、生活は楽しくなった。
兄も、今まで以上に沢山気にかけてくれる。
人生とはこんなにも簡単にうまくいくものなのだろうか、と少し怖くなった。
「..あ、お肉忘れてた。」
危うく会計を済ませるところだったAは、急いでお肉コーナーへと向かった。
帰り道、Aは少しだけ寄り道をと、河川敷グラウンドへ向かった。
夕方の象徴である夕日が少しづつ沈んでいく。
その光景に見入ってしまい、暫く佇んでいた。
「あ、おーい!Aー!!」
「あ、円堂監督!」
「買い物かなんかの帰りかー？」
「はい!監督は何を？」
「俺も嫁さんに買い物頼まれてな。今その帰り」
ふぅん、嫁さん。
少し顔をニヤニヤさせて円堂監督を見ると「な、なんだよ!!」と挙動不審な態度をとってみせた。
そして思い出す。
――それに、あの人は夏未さんだけには勝てなかった人だった――
――お、奥さん？夏未さん、円堂君と結婚したの!?――
清水薫との会話を。
「円堂監督」
「んぁ？」
「――清水薫さんて、どんな人だったんですか？」
「………知ってるのか？」
「僕の事助けてくれたの、薫さんだったんです。戻りなさいって」
「………そうか」
なんとも言えないような顔をして円堂は苦笑した。
「薫はな、生徒会してたんだ。頭良くてサッカーも上手くて。清水グループって知ってるだろ？あのでっけーグループ。あそこの跡取り娘だったんだ」
「へぇ…」
「佐久間次郎って知ってるか？」
「ああ、あの眼帯してる人ですよね」
「そうそう。そいつ奥さんがいるんだけどさ、薫、そいつの友達だったんだ。」
「……(じゃあ薫さんの言ってた大切な子って…)」
「…ほんと、いい奴だったんだ」
夕焼けを見上げながら、円堂は言った。
顔はあまり直視していないが、隙間見た円堂の頬に雫が流れていたのは気の所為ではなかっただろう。
改めて、清水薫の事を知ったような気がした。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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アヤ - すごく感動しました！(*^_^*)絵文字がわかんなかったのでとりあえずにているものを (2012年11月27日 21時) (
レス) id: 10e0a2ff7e (このIDを非表示/違反報告)
松風もえ - 完結おめでとう！めっちゃ泣きました。いろいろ遅くてゴメンネ（泣）その前に、覚えて無いですね。とにかく感動をありがとう(*＾-＾*) (2012年4月22日 12時) (レス) id: 07e680f5d0 (このIDを非表示/違反報告)
霜月千里☆(プロフ) - ちびねこさん» 違っていませんよー＾ω＾!!証です!大好きなんです!! (2012年4月19日 20時) (レス) id: b15027f9ef (このIDを非表示/違反報告)
ちびねこ - こ、この小説の「希望があるはずだから……って、flumpoolの『証』ですか？！違ったらすいません。 (2012年4月19日 20時) (レス) id: 70505f893b (このIDを非表示/違反報告)
霜月千里☆(プロフ) - みかさん» ありがとうございました!!アンケートもありがとうございます!! (2012年4月4日 17時) (レス) id: b15027f9ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月千里☆ | 作者ホームページ：http://id35.fm-p.jp/193/kkendou/
作成日時：2012年1月5日 14時
