（38-��.） ページ6
｢ごめんなさい、急に呼び出したりなんかして…｣
｢全然大丈夫。いつでも、呼んで｣
｢話したいことは、たくさんあるけど…ごめん、時間がない｣
北斗は平然を装い、Aのペースに合わせる。
｢どうしたの?｣
｢私、やっぱりどうしても…樹を忘れられない。樹に…会いたい｣
Aの口から出るのは、当たり前に樹の名前で、それはもちろん北斗にもわかっていた。
しかし、そんな当たり前に、北斗はずっと苦しめられてきた。
4年ぶりのその痛みを、北斗は静かに受け入れる。
｢…樹も、待ってるよ｣
｢でも、ダメなの私…あのね、結婚式がある。私と、大我の…結婚式｣
｢え、いつ…?｣
｢…もう、2時間もない…｣
｢2時間?嘘でしょ??｣
｢すごく、本当…｣
そう言ってAは部屋の隅に準備されている純白のウエディングドレスを指さした。
あまりの衝撃に北斗は言葉も出なかった。
｢もう、手遅れなのはわかってる。でも…でも最後に、私は樹に会いたい!このまま終わるなんて、絶対嫌だ｣
無茶苦茶なことを言うAに北斗は頭を抱えたが、悲願するように、涙を流しながら樹に会いたいと訴えるAから、目を逸らすことなんてできなかった。
そして、北斗は決意した。
｢わかった。俺がなんとかする｣
｢…ほんと?｣
北斗は強く頷いた。
それを見てAは少し安心したような顔で、涙ぐみながらも少しだけ微笑んだ。
北斗は胸がときめく前にAの部屋から飛び出した。
家を出る途中、ジェシーとすれ違ってしまったが、もうそんなことを気にしている暇なんてなかった。
北斗を突き動かすのは、Aへの恋心ではなく、執事としての忠誠心なのだ、と北斗は自分自身に言い聞かせた。
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さいか(プロフ) - リリーさん» コメントありがとうございます！最後まで楽しんで頂けたなら、本当によかったです！ぜひぜひ、次回作も楽しみに待っていてください！ (2019年2月3日 0時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - なるみやさん» コメントありがとうございます！お褒めの言葉とても嬉しいです！最後まで書いてよかったと思えました。ぜひ、次のきょもほくもよろしくお願いします！ (2019年2月3日 0時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 完結お疲れ様です！今回も素敵な作品で最後まで物語の世界へ引き込まれていきました。何度も読み返したくなるような…。次回作も期待してます！ (2019年2月2日 22時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
なるみや(プロフ) - はじめまして。完結おめでとうございます！とても言葉のチョイスが素敵で惹き込まれました(;_;)それぞれの思いが交差して絡まって最後は綺麗に解けていく、そんな風に感じました。次のきょもほくの作品もとても楽しみにしています！ (2019年2月2日 21時) (レス) id: 3d9da8fdcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2019年1月25日 20時
