【忍たま】君が好きだ。と自覚してしまった【土井半助】 (ページ49)

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土井side

夕飯は雑炊と、魚を焼く事にした。
きり丸はまだ帰ってこないだろう。
きっと内職のアルバイトを
山ほど持って帰ってくるだろうなぁ。

それはそうとAくんの様子がおかしい。
何か落ち着きがない気がする。
とかいう私も、実は落ち着いているフリなんだが。

自分の家にAくんと、ふたりきり。

意識しないわけがない。
と、とりあえず外で野菜を洗ってこよう。

『ごはん、楽しみですね』

土間に降りてきたAくんは、米を炊いているかまどの前でニコニコ嬉しそうだ。

土井「うん、もう少しで炊けるかな」

雑炊の準備をしようと、私は側で野菜を切り始めた。

土井「明日は、仕事？」

『そうです。夜からなので、
　ゆっくり寝てから行きます』

土井「そうか。私はアルバイトの手伝いかな」

他愛のない話をしながら、
今日のために奮発して買った野菜たちを刻んでいく。

しかし、あと少しというところで

「……いっ！」

指先にピリッと痛みが走った。

指先を見ると、血。
包丁で切るなんて珍しい…と、思っていると

『土井先生！血！血ぃでてます！』

Aくんが慌てて私の手を見に寄ってきた。
私としては手よりも、
Aくんとの距離感に慌ててしまうのだが。

土井「大丈夫、すぐ止まるよ」

『そ、そうですか？でも結構、血が……』

そう言って、わたわたと私の指を掴んだかと思えば。

ぱく。

あろうことか、私の指を咥えたのだった。

あぁ、私は今日死ぬんだろうか。