4 ページ5
◇土井side
さて、私は昼食の前に医務室へ寄ることにした。
目は覚めているだろうか。
今朝の事を覚えているだろうか。
そもそも私は何故こんなに考えているんだろうか。
「土井です。失礼します」
『はあーい』
新野先生ではない声にドキリとする。
どうやら目が覚めたらしい。
ガラリと障子を開けると、そこにはこちらを向く彼女の姿があった。
『土井先生〜!』
元気そうな様子にほっとして、彼女の前に腰を下ろす。
「Aくん、気分はどうだ?」
『すっかり元気です!なんか首痛いです』
「あぁ、寝てる間に首がすごい方向を向いていた
から……いやぁ、驚いたよ。仕事を終わりで…
って言ってたような気がするけど…」
どうやら追われている様子でもなかったなぁと、
今朝のことを思い出す。
『そうなんです。潜入捜査の仕事がやーーっと終わった帰りでヒャッハー!ってなってて、
そしたらうっかり転落してしまいました。』
ドジですよね〜あはは、なんて。
思い出したが、彼女・AAは忍としての身体能力は高く頭も良いので、忍務はきっちりこなす。
しかしそれ以外はそうでもない。
「はぁ…心配したんだぞ?万が一何かあれば……
油断せず、気をつけなさい。」
怪我は勿論だが、彼女がプロくの一だとしても、まず女性なのだ。もしあのまま気を失っていたら、見つけたのが自分ではなかったらと思うと。
あぁ、恐ろしい。
「あ、それと学園長先生が菴へ来るようにと
仰っていたぞ」
『はーい。やばいな怒られちゃうかなぁ』
どうだろうな、と笑い合った後
彼女はハッ!と気付いたように私の片方の手を両手で包み込み、
『助けてくださったのが
土井先生で本当によかったです。
ありがとうございます。』
「ん"!?」
なんともまぁそんな事をサラリと言う彼女に、
なんか変な声が出た気がする。
『もし盗賊にでも見つけられてたら、
この巾着取られちゃうとこでしたよ』
チャリ、と小銭の入った巾着を上衣からチラッと見せてきた。あ、あぁそういうことか…
「あぁ、まぁ
そういう事じゃないわけでもないけど…」
それでは!と、学園長先生の菴へと向かった彼女が
あとでお昼一緒に食べましょう!
職員室で待っててくださいね!
と、言いに戻ってきたのは僅か数秒後のことだった。
さぁ、お昼は彼女と何を食べようか。
227人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はな | 作成日時:2020年12月14日 12時