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◇土井side
「落ちた衝撃で気絶してしまったんですね。
目が覚めるまでこちらに寝かせておいてあげま
しょう」
そう言って忍術学園の校医である新野先生は、彼女にそっと布団を掛けた。
「ありがとうございます。新野先生」
あの後、まさかあの場に彼女を置いて行くこともできるわけがないので、背負って忍術学園まで来たというわけだが。
正門をくぐると、事務員の小松田くんに
「背中の方のサインを!」と入門票を顔にグイグイ
押し付けられて痛かった。
彼女の名前を告げたら、ぱぁっと明るい顔をして
「Aさんじゃないですかぁ!」と何やら嬉しそうだった。
「小松田君、嬉しそうだね」
「学園に来られたときは、よくお話してくださって、楽しいんですよ〜」
へぇ……と自分から聞いたわりにそっけない返事をして私は医務室へ向かった。
なんだろう、おもしろくない。
そして新野先生に診察をお願いし、今に至るのだが、とくに外傷がなくて安心した。
それにしたって、久々に近くで見る彼女は、
在学中の頃より大人になった。
寝顔はまだ幼さも残るが、相変わらず綺麗な顔をしている。そしてなんかすごい寝相になっている。
まぁそれはいいか。
「土井先生」
彼女が卒業したのは2年前、か。
「土井先生」
学園長先生からの依頼も受けていたようで、報告に来たりと時々見かけることはあったが、あまり話す機会はなかった。
話したいな、とか…いや、そんなんじゃない。
ないない。
「土井先生!職員会議が始まりますよ!」
「!!!はっ、はい!!!!」
気がつけば新野先生に何度も呼ばれていたようだ。
すみません、と謝って医務室を後にする。
見惚れて、いたのか?
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作者名:はな | 作成日時:2020年12月14日 12時