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you side
暫く経って私は裏々山から戻って来た。
さすが6年生を相手に、裏々山でやり過ごそうというのが甘かった。
仙蔵がやってきて焙烙火矢投げられたり、小平太の塹壕掘りに巻き込まれて、私も2回ほど鬼になった。
あれから皆代わる代わる鬼になって、学園内を走り回って結構楽しんでいたけれど、私はそろそろ夕飯の時間に向けて逃げ切りたいところ。
そして今は火薬庫の影に隠れて、塀の上を眺めている。
『で、いつまでやってんの。あのふたり』
塀の上では留三郎くんと文次郎がもうどれくらいの時間だろう?ずっと争っている。
もうどっちが鬼なのか知らない。
土井「しょうがないなぁ、留三郎と文次郎は」
そう言いながら火薬庫から土井先生が出てきた。
『ねぇ、終わりが見えません』
半ば呆れて、私はため息をついた。
土井「あれ?Aくん、頬に…」
『はい?』
土井「傷ができている。ほら、右の頬に」
『えぇ!絶対に仙蔵の焙烙火矢…
いや、小平太の塹壕掘りに巻き込まれたとき…?』
土井「大変だったんだな」
土井先生は苦笑いで私の頭にポンと手を置いた。
……………えっなんか、なんか恥ずかしい。
土井「生憎、薬とか持っていなくて…
とりあえず、傷口は洗って清潔にしておいた方
がいいかな」
『えっ、あ、はい!洗ってきます!』
私は逃げるように井戸まで走って、傷口を洗った。
熱を持った顔に、冷たい水が気持ち良い。
おかしい。やっぱり私おかしい。
またこの間みたいに、心臓がうるさい。
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作者名:はな | 作成日時:2020年12月14日 12時