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土井side
『それでは本当に失礼しました。』
Aくんが大量のトイレットペーパーを持って教室を出ていった。
これから小松田くんを探すのだろう。
………さっきは驚いた。
転ぶ寸前の彼女をとっさに受け止めたとき。
一瞬だったはずなのに、時間が止まったように彼女に見入ってしまっていた。
彼女が離れると、名残惜しい気持ちになったのも自分では何故だかよくからない。
それは置いておいて、しんべヱに起きなさいと声を掛ければ、ずるずると鼻水とよだれを垂らして寝ていたしんべヱが目を覚ます。
し「あれぇ?ぼく寝ちゃってた」
乱「やっと起きた!しんべヱの鼻水で滑って、
Aさん危なかったんだからね」
し「えー!大変なことしちゃった」
き「いやそれがさ、土井先生が〜」
きり丸が話しだすと、生徒たちが
AさんがAさんがと、また一斉に騒ぎだす。
一緒に遊びたいだの
一緒に団子を食べたいだの
一緒に食堂へいきたいだの
フリーくの一かっこいいだの
美人だの可愛いだの
土「……まーたお前たちは!
静かにしないか!授業を再開するぞ!」
なんだか聞きたくなくて、大きな声を出してしまった。あぁ、大人気ない。
彼女を忍術学園に来て以来、
なんだかおかしな自分がいる。
例えばこの前の朝だってそうだ。
寝間着の乱れた彼女を、小松田くんや他の誰かに見られるのが嫌だと思った。
遠くから見掛けるだけの存在だった彼女が、
るひょんなことから急に近い存在になって。
何かが芽生えようとしているのに
わからない振りをして。
ー土井先生はAさんと遊んだり
お話ししたくないんですか?!ー
ー私も、土井先生とお話ししたいですよー
なんて。そんなの。
私だってそうに決まっているじゃないか。
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作者名:はな | 作成日時:2020年12月14日 12時