タキシードうさぎ ページ21
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白のタキシードに身を包んでいるジョングク。
チラリと奥の方を見るとカメラマンさんを含めスタッフさんが慌ただしく動いている。
不意に、新郎さんが口を開いた。
「な、なんで…」
「なんでって…そりゃ、
…こいつを一番幸せにできるやつは俺だから。」
ジョングクはサラッとそう答えて私に手を差し伸べた。
…そんなキザなセリフ、いつもは言わないくせに。
それでも、それだけで、胸がじわぁっと熱くなる。
「……私を攫うってこと?」
「むしろそれ以外になんかある?」
驚く程堂々としていて、真っ直ぐな目で私を見る。
「あはっ、やっぱ馬鹿だね。」
あぁ、私の大好きで大好きでたまらないジョングクだ。
そっと、あったかくて私より一回り大きいジョングクの手の平に自分の手を重ねた。
そのままぎゅっ、と強く手を握られる。
「おっし、走るぞA!!」
「おー!!!」
髪が崩れるのも気にせず、ドレスの裾が床に擦れるのも気にせず、ただひたすらに走った。
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「…ね、これ私達あとでめっちゃ怒られるよね。」
撮影中に乱入。
そして逃亡。
ジョングクに連れられるがままにして空き部屋に入りそこで身を潜めている。
「…まあ、そこは大丈夫。」
「えぇ?なんでよ。」
「なんででも。」
なんでここに来たの、とか。
なんでタキシードなんて着てるの、とか。
聞いても「あとでわかるよ」の一点張り。
「……あ、髪飾りとれてる。」
「あ〜走ったからかなぁ…もうとっちゃって。」
ずいっと頭をジョングクに差し出すと、
「ん、」
ジョングクが手を動かした気配がして、
同時に髪留めもとれたのか、まとめていた髪が一気に落ちていく。
…バタバタ…
『Aさーん!ジョングクさーん!!どこですかー!?』
ドア越しにスタッフさんが走りながら私達を呼んでいる声が聞こえた。
反射的に口をキュッと結んでジョングクを見ると。
「…シィッ、」
人差し指を私の唇にあてて悪戯っぽく笑った。
そのままジョングクの指は私の顎へ。
ドクン、ドクン、と心臓の音が響くのを感じながら、目を閉じた。
『ダメです!見つかりません!』
『えぇ…ほんとどこ行った…よし、あっち探すぞ!』
静かに、ゆっくり唇が触れた。
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メイメイ - 読んでいてとてもドキドキしました!新作、楽しみにしてます、、、!! (2019年11月6日 19時) (レス) id: f3243f1c25 (このIDを非表示/違反報告)
メノン(プロフ) - Yukiさん» いえいえ〜!! (2019年1月4日 21時) (レス) id: 12718eb4e2 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 了解です!ありがとうございます!! (2019年1月4日 11時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
メノン(プロフ) - Yukiさん» 全然いいですよ!?めちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます!!私のボードかメッセージに何か送ってくれますか?そこでお話ししましょ!! (2019年1月3日 20時) (レス) id: 12718eb4e2 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 待ちます!!!待ちますとも!!!そして読みます!!!あと、もしよかったらなんですけど、、、占つくの中でのお友達になってもらえませんか?無理でしたら全然ふっちゃってくれてかまいません!!! (2019年1月3日 17時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メノン | 作成日時:2018年8月19日 9時