_第9話_ ページ9
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外に出るとすでに話はまとまっていたらしく、私を一瞥した背の小さい人と眉のない人が先を歩きだした。他の人たちもそれについていき、本を取り出してくれた男の人も同様に先を行ってしまう。
「行くぞ」
どうすればいいか迷っていれば、私を連れ帰ると言った男が私に声を掛けた。
私は家だった場所に火を引火してから後をついて行く。
人目につかないように獣道を歩いて行くが、私と皆とでは歩幅がかなり違うので、なかなか追い付けない。
男は先に進みながらも私のスピードに合わせ、はぐれない様にしていたのだが、ドンドン開いていく距離にしびれを切らし、再び私を小脇に抱えた。
しばらく何も言わずに運ばれていたが、本を持っている腕が疲れてきてしまい、手放してしまいそうになる。
この本に何が書かれているかは分からないが、もし自分が死なないということが書かれていたら……せっかく村を出ることができたのに、また同じことを繰り返すことになるかもしれない。
このほん、みられたくない……。
「じぶんであるきたいです」
「ダメだ」
「……せめてもち方かえてほしいです」
腕も痛かったが、抱えられているお腹も痛かったため訴えかければ、今度は横抱きになる。
本は自分のお腹に置けば力を入れなくても済むので、腕も何とかなった。
しかしこの男が私の方を見れば本は目立つ。少しヒヤヒヤしながら身を委ねることとなってしまった。
◇
「名前は?」
「……わかんないです」
「わからない? 普段は何と呼ばれていたんだ?」
仮宿に帰る途中、少女のことについて知ろうと思い聞いたのだが、口を閉ざしてしまった。
少女は俺に向けていた目を逸らし、俯いていた。
……やはり育児放棄か?
「それ、見てもいいか?」
と少女が持っていた本に目を向ける。
これは出版されているような本ではなく、日記等に使われるような本。
少女は本をギュッと握り、頭を横に振った。
「お前のことが書いてあるかもしれない」
「うん」
わかってて持ってきたのか。
大方、自分のことは一番最初に知りたいとかだろう。
「文字は読めるのか?」
と聞くが首を横に振る。
「後で教えてやる」と言えば、驚きつつも口元を緩め、子供らしく笑った。
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ジユウジン(プロフ) - かかかっかさん» お待たせしました! 実はこの先どう話をつなげようか全く思いついておらず……笑 少しずつでも進めていきますので、続編でもよろしくお願いします! (2020年11月23日 22時) (レス) id: 7b9e53fa76 (このIDを非表示/違反報告)
かかかっか - 今日更新日じゃあないですかあぁーーなんて奇跡! (2020年11月23日 13時) (レス) id: be021bd9b1 (このIDを非表示/違反報告)
ジユウジン(プロフ) - なつみかんさん» コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けたのは初めてで嬉しいです…!私も今後書けるのが楽しみで、早く更新していきますね!体調崩せばゆっくりできるので更新できるのでは…と考えてしまいました笑 なつみかんさんもお気を付けください! (2020年2月13日 0時) (レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん(プロフ) - かわいい...優しい気持ちになれて素敵な小説です、タイトルや種族のところを考えるとなんだか不穏ですが、それも楽しみにして更新待ってます!作者さんお身体には気をつけてくださいね! (2020年2月12日 15時) (レス) id: a4479fa504 (このIDを非表示/違反報告)
ジユウジン(プロフ) - うらららリンゴさん» コメントありがとうございます!クラピカや主人公組……というより原作に入るまでまだまだ時間がかかりそうなのでしばらく出てこないかもしれません……。そこまで進んだ時には、ご期待に応えられるよう頑張りますので今後ともよろしくお願いします! (2019年12月15日 9時) (レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジユウジン | 作成日時:2019年11月14日 17時