_第10話_ ページ10
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「あの、なまえ……」
「クロロだ。クロロ=ルシルフル」
「くろろ、るしゅっ……る」
……むずかしい。
クロロはククッと笑っている。
私がクロロの名前を言えるようにブツブツと練習していれば、どこかにたどり着いた。
「パクノダ。悪いんだが、風呂の世話だけは頼んでもいいか?」
「いいわよ」
「済んだら俺の部屋に連れてきてくれ」
クロロが私を降ろすと、パクノダと呼ばれた女に連れられて行く。
すぐ近くの部屋へと入り風呂場に直行。
その時もう一人の女の人とすれ違った。
「マチ? 今から出かけるの?」
「近くの服屋からその子の服調達してくる」
「あらそう。わかったわ」
パクノダとマチと呼ばれた人が話している隙に、持っている本を誰にも見られないようにと洗面所にある棚の下に隠した。
パクノダは私の服を脱がし、お風呂場に入るとシャワーの水を出した。
殺される……?
今までお風呂場で殺されたこともあったので身構えたが、温かくなった水を当てられ、痛みなど微塵もなく少し心地よかった。
◇
水が怖いのか、シャワーを当てるたびに体がビクっと反応する。
髪を洗い、体も洗う。
……骨を洗ってる気分になるわね。
「一体どんな生活を送ってきたの?」
自身の能力を使って少女の記憶を読む。見えたものはひどいものだった。
暴力にとどまらず、死んでいてもおかしくないほどのことをされていたのだから。
しかもそれが家族からだけじゃない。村の人からも……。
私が手を止めたことに少女は気になったのか、頭をコテンと傾けた。
「な、なんでもないわ。名前はなんて言うの?」
「わからない」
名前の事を問えば、皆口を揃えて化け物と呼んでいるのを見た。
まさかあのクルタ族が虐待だなんて……。
でもなんだろう、この違和感。
私は何か違和感を覚えながらも少女を湯船に入れる。
湯船に入れられた少女は、やはり水が怖いからなのか青ざめた顔で硬直していた。
団長も待っているためなるべく早くお風呂から上がると、脱水所にマチが盗ってきた服が3着ほど置いてあったため、それを着せる。
「マチ、悪いけどこの子の髪お願いしてもいい?」
「いいよ。アンタ、こっち来な」
少女をマチへと任せ、私は団長の元へ向かった。
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ジユウジン(プロフ) - かかかっかさん» お待たせしました! 実はこの先どう話をつなげようか全く思いついておらず……笑 少しずつでも進めていきますので、続編でもよろしくお願いします! (2020年11月23日 22時) (レス) id: 7b9e53fa76 (このIDを非表示/違反報告)
かかかっか - 今日更新日じゃあないですかあぁーーなんて奇跡! (2020年11月23日 13時) (レス) id: be021bd9b1 (このIDを非表示/違反報告)
ジユウジン(プロフ) - なつみかんさん» コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けたのは初めてで嬉しいです…!私も今後書けるのが楽しみで、早く更新していきますね!体調崩せばゆっくりできるので更新できるのでは…と考えてしまいました笑 なつみかんさんもお気を付けください! (2020年2月13日 0時) (レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん(プロフ) - かわいい...優しい気持ちになれて素敵な小説です、タイトルや種族のところを考えるとなんだか不穏ですが、それも楽しみにして更新待ってます!作者さんお身体には気をつけてくださいね! (2020年2月12日 15時) (レス) id: a4479fa504 (このIDを非表示/違反報告)
ジユウジン(プロフ) - うらららリンゴさん» コメントありがとうございます!クラピカや主人公組……というより原作に入るまでまだまだ時間がかかりそうなのでしばらく出てこないかもしれません……。そこまで進んだ時には、ご期待に応えられるよう頑張りますので今後ともよろしくお願いします! (2019年12月15日 9時) (レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジユウジン | 作成日時:2019年11月14日 17時