勇者パーティから追い出されたので移動式料理店はじめます。

試験終了と疑問 ページ23

晴れていくと、そこには尻餅を付いている女性の姿があった
相殺しようとしたみたいだが、この様子だと寸前で防御魔法に切り替えたのだろう
そのせいか服が所々破れて肌が露出してしまっている
まさかあれを防げるなんて、とんでもない魔女だ



「服が破けてしまったわね、ごめんなさい。これを羽織って？」


「......さすがですね」


「ん？」



聞こえずに首を傾げると女性はまたくすくすと笑う
私は服が破れている為彼女にローブを掛けてあげた
すると彼女の美しい顔が私に寄せられ、そのまま耳元で小さく呟いた



「試験が終わったら、生徒会室まで来てください」



その後彼女は何事もなかったかのように淡々と試験を続けた
彼女に攻撃が通ったのは私だけで、どうやら攻撃の強さで判断しているらしい
攻撃魔法の実践を終えると、次は私にとって重要な回復魔法の実践が始まった
受験用に切り付けられた人形を治すことが課題で、この人形には特別な魔法が掛けられている。
治癒魔法を掛けることで破れている部分が治るらしい
それぞれにボロボロの人形が渡されると、彼女の「始め！」という声が通った
このボロボロ加減だと、単体回復魔法のヒュアスくらいでいいだろう
魔法を使えばもちろん疲れる、使い過ぎてしまうと疲労で倒れることもあるのだ
回復魔法は自身の体力も考えつつ、相手の怪我を見てどの程度の魔法を掛けるかということが重要だ



「回復(ヒュアス)」



そういうと飛び出した棉が人形の中へ戻っていき、切れた布は糸で縫われていくように閉じていく
私の人形は元通りになり、ここにいる過半数の人が成功させたようで胸を撫で下ろした
評価を書いているのか女性は書類にペンで何かを書いている
そして書類から目を離すとこちらへ向いて微笑んだ



「試験終了です、お疲れ様でした」



その言葉を聞いた途端周囲は糸が切れたように雑談を交わした
私も一先ずほっとするが、また1つ問題ができてしまった
それはこれから生徒会室へ向かわなければならない、ということだ
何か不正を？それともあの女性に目を付けられた？
というか、そもそもなんで生徒会室？
私の脳内は疑問でいっぱいだ、その疑問を解消すべく生徒会室に向かおうとするものの......



「......道が分からないわ」



また学校案内の地図とにらめっこする羽目になるなんて！

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