勇者パーティから追い出されたので移動式料理店はじめます。

冒険日和 ページ17

「えへへ、よろしくお願いします！」


「あなたって魔道士だったのね.....」


「はい！冒険者になるために宿屋で働かせてもらって資金を貯めていたんですけど、お父さんが安心できるパーティを見つけたと教えてくれて」



あの後、パーティに入りたいという女魔道士が数人集まった
その中でも歳の近いユミアという女の子を選んだみたいだ
偶然にもこのユミアという女の子は、私がアイトと出会った街の宿屋で働いていた女の子だった



「ユリのおかげだよ、本当にありがとう！」


「わ、私達......ユリさんのお陰で、これから冒険できます......！」


「......ありがと」


「お礼なんていいわよ、パーティみんな仲良く協力するのよ」



そういうと4人は頷いて微笑んだ
私はふと思い付いて、トイレへ駆け込んだ
アイテムボックスを開いて、この間購入したエルフの村で作られたネックレスを取り出した
別れは寂しいが、こうして思い出をプレゼントに込めればまた出会える
それは私が"冒険"に寄せている信頼だった
トイレから出ると、まだ3人より全体的にステータスの低いユミアの首にネックレスを掛けた



「ユリさん......？あの、これは......？」


「特別なネックレスよ。貴方にあげるわ......大切に使ってね」


「えっ！？こんな、頂けません！」


「ダーメ！紅の翼は遠慮しないのが決まりなの！」


「それって自慢気に言うことかしら......」



そういうと私達の会話は笑いで溢れた
ユミアは楽しそうに笑って、ネックレスを受け取ってくれた
この子達の旅は始まったばかり、私は成長を楽しみに思う親の気分だった
日数にすれば数日の仲だが、私達は涙を滲ませながら別れを交わした
出会いと別れは幾度も経験したが、これからも慣れることはないだろう



「......さーて、これからどうしようかしら」



私はひとり、晴れ晴れとした快晴を見上げながら背伸びをした
うん、と背を伸ばして脱力し私は自由に歩み始めた

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