Prolog ページ1
遡ること一ヶ月前、私達は盗難被害に遭った
夜中、何者かに武具の入った袋を盗まれたのだ
お気に入りの武器や防具は傍に置いてあった為比較的被害は少なく済んだものの、それから幾度も盗難被害に遭った
れっきとした勇者御一行であり敵の気配を感じることは容易なはずだが、犯人の特定に至ることはなかった
そして今朝、話があると密室にパーティの全員が集められた
机を囲むように座り私の前に勇者の洸太が険しい表情で座っている。私の好きな人、険しい表情も格好良い......
そして回復師のみっちゃんこと、美久亜は私の隣に座って泣いていた
女戦士の王華はどっしりと胡座をかいて勇者の隣に座っている
「盗難の犯人が、判明したんだ」
「で、なんで美久亜が泣いてんだよ」
喜ばしい状況なはずなのにみっちゃんは涙を溢れさせる
目は潤み声を震わせながら、私のことを見上げた
それは何故だか睨まれているように見えた
「......見たんです、ユリが盗みを働いている所を」
「はぁ?何言ってんだお前」
王華がその言葉に顔を顰めた
「......えっ、私?ユリって私よね。あれ、同姓同名の人違い?」
「俺はこの目で見たんだ、昨夜ユリが報酬金を盗んでいる所を」
滅茶苦茶に酒に酔っていた為、殆ど記憶はなかった
しかし、一つだけ思い当たることがある
ユリに回復薬を作ったから机の上の袋を持っておいて欲しいと、言われたのだ
そんなわけがない、でも______
「みっちゃん、まさか」
「私、ユリがこんなことするなんて思っていませんでした!」
「ちょ、ちょっと待ってよ。あれはみっちゃんが持っておいてって言ったんじゃない」
「そんなこと言ってません!」
「俺が見たって言ってるんだ!今更美久亜に擦り付けようだなんて、もう見苦しいよ」
「ち、違うの......洸太、私のこと信じてくれないの?」
私がそういうと、洸太は溜息を吐いた
初めて向けられる洸太からの冷めた視線に涙が溢れそうになる
一度俯くも、涙を堪えて王華の方を見た
「王華......」
「あー......洸太が見たって言ってんだろ?」
「......」
それもそうか、と納得した
王華だって洸太が好きで、戦場でも洸太のことを特別に信用してる。私のことなんて......
「これからのことも考えてユリには脱退してもらうよ」
「でも、私以上の魔道士なんていないわ」
「......魔道士の代わりは数多く居るから」
洸太の追い討ちをかけるような言葉に、私の心は完全に折れた
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砂糖丸(プロフ) - もちお!さん» コメントありがとうございます!書き溜めが無くなり更新が亀になっていて申し訳ない限りです......が!コメントでとても喜びで溢れたので指が進みますwこれからも頑張らせて頂きますので、よろしくお願いします!ありがとうございました♪ (2019年10月19日 1時) (レス) id: c1639a6bbb (このIDを非表示/違反報告)
もちお! - くっ、面白い!めっちゃ面白い!!(語彙力の欠乏)…いつも楽しく読ませてもらっています!これからの展開が気になりすぎる!あと主人公ちゃんがカッコいいっ!応援してます、頑張って下さいね!! (2019年10月18日 18時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
砂糖丸(プロフ) - 煮たまご出汁巻きさん» またコメント頂いてとても嬉しいです!これからのストーリー、どんな展開になるのか楽しみにして頂けると嬉しいです♪これからも入り込めるような物語を書いていく目標で頑張りますので、よろしくお願いします!┏〇 (2019年9月30日 22時) (レス) id: c1639a6bbb (このIDを非表示/違反報告)
煮たまご出汁巻き(プロフ) - 早速勇者サイドを書いて頂きありがとうございます。このまま何のトラブルもなく開店できるのか?勇者達との再会は簡単にいくのか?ハーレムの女の子は増殖するのか?はたまたざまぁ展開はあるのか?等々…今後の展開も気になりますます目が離せませんね (2019年9月30日 19時) (携帯から) (レス) id: 5d045b778c (このIDを非表示/違反報告)
砂糖丸(プロフ) - こだぬきさん» コメントありがとうございます!色ボケた愉快な仲間たちwwピッタリな言葉かもしれませんw主人公ちゃんには私も幸せルートを歩んで欲しいですw応援とても嬉しいです...!ありがとうございます♪ (2019年9月29日 2時) (レス) id: c1639a6bbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:砂糖丸 | 作成日時:2019年9月4日 9時