東京卍リベンジャーズ二人の愛は茨の道【佐野万次郎】肆 (ページ49)

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第197話切り刻んだ記憶ページ49

お兄ちゃんが欲しかった。
ある日、訪ねてきた男がこう言った。

真一郎「オマエがイザナか！」

佐野真一郎。オレの“兄”だと言った。
バイクを教えてくれた。ケンカの仕方を教えてくれた。不良の遊び方も、服も、髪型も、笑い方も、全部真一郎に教わった。オレだけのお兄ちゃん────。

『はじめまして！西園寺美玖琉です！アナタがイザナ？』

西園寺美玖琉。いつも真一郎のそばに居た少女は、オレの姿を捉えると、満面の笑みを浮かべて駆け寄ってきた。オレの両手を握った美玖琉は、「真一郎がね、歳が近いから仲良くしてやってくれって！よろしくね、イザナ！」と笑顔で言葉を続けた。
温かい……美玖琉と一緒にいると心が休まる……初めての感覚だった。
数年後、少年院(ﾈﾝｼｮｰ)を出たオレは、真一郎の店を訪ねた。店には美玖琉の姿もあり、相変わらず真一郎にベッタリな美玖琉は、オレの姿を捉えると、初めて会った時のように笑顔で駆け寄ってきた。

『イザナ！久しぶり！』

黒川「久しぶり。元気そうで安心した。真一郎、ケツ乗ってよ。ちょっと走ろ？」

真一郎「オウ、いーね。ちょっとまってろよ」

『いいなー。私も行きたい』

真一郎「オマエは留守番」

『えー』

黒川「悪ぃ、美玖琉。ちょっと真一郎、借りるな」

真一郎と一緒に店を出て、バイクを走らせる中、オレは真一郎に、黒龍の次の代を継がせて欲しいと話を切り出した。
きっといい返事が貰える……そう思っていた。

真一郎「イザナ、ありがとう。兄弟でつないでくのが夢だった。黒龍はオマエ…そして、万次郎に継がせたいから」

え？コイツ、“お兄ちゃん”じゃねーの？
さらに数年後、“灰”のようになっていたオレに、稀咲が訪ねて来た。

稀咲「“最強”と謳われた男が、随分落ちぶれたな。兄貴が死んだ悲しみからか？黒川イザナ」

そして、天竺を作った。