第185話 闇色のレース ページ37
三途「…………」
朝が早いということもあり、静まり返った病院内にオレの足音が響き渡る。慣れた足取りで目的の病室へ向かえば、病室から黒髪美人の女の人が出てきた。
「あら……春千夜君?」
三途「ご無沙汰してます」
病室から出てきたのは、西園寺美玖琉さんのお母さんだった。Aさんとそっくりな顔で微笑むAさんのお母さんは、「お見舞いに来てくれたの?」と首を傾げた。
三途「はい……あの…マイキーは……」
「万次郎君なら、さっき帰らせたわ。ずっと美玖琉に付きっきりでまともに寝ていないから」
三途「そうでしたか……」
マイキーがいないのは好都合だった。今のオレは、マイキーと接触するわけにはいかないからな。
Aさんのお母さんに「病室の中に入っても大丈夫ですか?」と聞けば、「ええ。大丈夫よ」と笑みを絶やさずに答えてくれた。オレは、Aさんのお母さんに頭を下げて、病室に入る。
三途「……Aさん……いつまで眠っているつもりですか……マイキーをあまり待たせてはいけませんよ」
あの事故から一週間以上経った今も、Aさんが目を覚ます気配はない。Aさんの肌は血色がなければ、頬も少しコケていて、健康状態がいいとはお世辞にも言えなかった。
三途「マイキーには……Aさんが必要です……マイキーを支えられるのは……アナタしかいない」
Aさん……アナタが目を覚ました時、アナタの周りの環境は変わっているかもしれない……アナタの知っているマイキーじゃなくなっているかもしれない……それでもアナタは……マイキーのそばを離れてはいけない。
三途「……また…元気な姿でお会いできる事を願っています」
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れ(プロフ) - だいすきです (2021年8月17日 0時) (レス) id: 4a740cc430 (このIDを非表示/違反報告)
ハイジ - 泣いちゃいました。 (2021年8月14日 21時) (レス) id: 9aaf42bc91 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - スズさん» お恥ずかしい話、私も泣きそうになりながら書いてました…感動していただけてとても嬉しいです! (2021年8月14日 3時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - 沙希さん» ありがとうございます!! (2021年8月14日 3時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)
スズ(プロフ) - やばいです、187.188話感動して泣きました( ; ; ) (2021年8月10日 7時) (レス) id: 50e31b744f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2021年7月17日 14時