東京卍リベンジャーズ二人の愛は茨の道【佐野万次郎】肆 (ページ36)

今日:9 hit、昨日:16 hit、合計:313,435 hit

第184話果たせぬ、共に在る約束ページ36

万次郎「…………」

静まり返った病室に、心電図の音だけが響き渡る。ベッドで眠るAの名前を呼んでも、いつものような反応はなくて、オレは頭を抱える。

万次郎「っ……A……」

あの時…オレが、いつもみてぇにわがまま言って、Aのこと困らせてでも一緒にいたら……Aの用が済むまで本屋の前で待ってたら……Aがこんな目に遭うことはなかった……シンイチローと約束したのに……結局オレは……Aを守りきれなかった。

万次郎「ゴメン……Aっ……ゴメン……シンイチロー……」

このまま……Aが目を覚まさなかったら……どうしよう……もし…Aまで失ったら……オレは…………オレは……正気を保っていられるのか…？
その時、「マイキー」と微かにオレの名前を呼ぶAの声が聞こえた。驚いて顔を上げたが、Aは眠ったままだった。「ハハ……幻聴か…」と、思わず乾いた笑みがこぼれる。

万次郎「A……オレ、オマエとやりてぇ事たくさんあるんだ……Aがガキの頃から行きてぇって言ってた海外に一緒に行きてぇし……もっと旅行がしたい……金貯めて一緒に暮らしたい……結婚式だって挙げたい……A、絶っ対ぇウェディングドレス似合うからさ……ケンチンたちに自慢してやるんだ」

ベッドで眠るAの左手を取れば、薬指にオレがAの誕生日にあげた指輪がはめられていて、オレはAの手をギュッと握りしめて、自分の額に持っていく。

万次郎「頼む……A……っ……早く目を覚ましてくれ」

それから毎日Aの病室に通ったが、一週間以上経っても、Aが目を覚ますことはなかった────。