東京卍リベンジャーズ 二人の愛は茨の道【佐野万次郎】伍

第206話 今真実を放つ ページ8

黒川「マイキー…オマエはオレを“救いたい”って言ったか？」

万次郎「兄弟なら当然だ…もう喋るな、イザナ」

黒川「…ある日、オレを捨てた母と…偶然会った……動揺したよ……パチンコ店で母に言われた言葉は…“アンタはアタシの子じゃない”だった……母の前の旦那がフィリピンの女と…作った連れ子だと言われた……真一郎も…それを知っていた……」

万次郎「イザナ…オマエ…」

黒川「そうだ…オレは真一郎とも、オマエとも、エマとも、兄弟なんかじゃない…誰とも血が繋がってないんだよ……なぁ？マイキー…オレが救える？救いようねぇだろ？なぁ？………エ……マ……」

鶴蝶「……イザナ？……オイ！！返事しろよ！！オイ！！イザナ！！オイ！！！」

『イザナ……っ……』

苦しい……まるで…私の周りから酸素が無くなっていくみたい……上手く呼吸ができない……。
苦しさのあまりその場に蹲れば、咳が込み上げてきて、咳をした拍子に再び吐血してしまう。手のひらにベッタリついた血に、手が震えた。そんな私の手をマイキーが掴んで、マイキーは私の目線に合わせるようにその場にしゃがんだ。マイキーは私の背中を優しくさすって、何度も「大丈夫だ」と言い聞かせてくれた。

万次郎「薬…持ってきてるか？」

『カ…カバン…の……中……』

万次郎「じゃあ…それ飲んで少し休んでろ…………千冬！！Aを頼む！！」

松野「ウ…ウッス！！」

『マ…マイキー……』

か細い声でマイキーの名前を呼べば、マイキーは私の事を安心させるように優しい笑みを浮かべて、私の頭を撫でて立ち上がった。

万次郎「東卍も天竺も、みんな！聞いてくれ。抗争は終わりだ。もうすぐ救急車と警察が来る！これ以上の不幸が出る前に、みんなこの場から離れろ！！この場は、オレが残って収める！！」

マイキーの声がだんだん遠のいていき、私は瞼を閉じて、意識を手放した。
関東事変───神奈川最大の不良集団･天竺と東京最大の暴走族･東京卍會の総勢約500名によるこの抗争は───逮捕者5名。死者3名を出す凄惨な結果で幕を閉じた。
逮捕者は天竺幹部5名。死者は佐野エマ、黒川イザナ、稀咲鉄太の3名。
稀咲君の死を知ったのは、私が病院で目覚めた数日後の事だった。

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