第239話 衣を纏って願うは一縷の望み ページ41
三途「……ここに来れば、Aさんの気持ちが少しは晴れると思って……」
『……そっか』
オレから離れて、海の方へ足を進めるAさんは、こちらを向く事なく、「春千夜…昔も今と同じ事言って、ここに連れてきてくれたことあったよね」と言った。ガキの頃みたいにオレの事を名前で呼ぶAさんに目を見開くと、Aさんは顔だけこちらに向けて「ゴメン。私には、名前で呼ばれたくないんだったね」と苦笑を浮かべた。
三途「そういうわけではありません……ただ、マイキーが……自分以外の男とAさんが親しくしていると、気を悪くすると思って……」
『……三途が急によそよそしい態度になったのも、私がマイキーと付き合いだしてからだもんね……三途は、本当にマイキーの事が大好きだね』
再び足を動かすAさんに「それ以上進んだら、足元が濡れちゃいますよ」と告げたが、Aさんは足を止めなかった。
『三途……マイキーのそばを離れないでね』
三途「Aさん、戻ってください」
『マイキーには…三途が必要なの』
三途「Aさん…!」
『マイキーを一人にしないでね……春千夜』
三途「っ……A…!!」
海の中に入っていこうとするAさんの手を引き、自分の腕の中に閉じ込める。少し戸惑った様子で「春千夜…?」とオレの顔を見上げるAさんの背中に回す手に、オレはさらに力を込める。
三途「マイキーが必要としてるのはオレじゃない。オマエだろ……だから…バカな事考えるな」
『……心配…してくれてるの…?』
三途「当たり前だろ。オマエは昔っから危なかしくて、目が離せねぇんだよ」
『……春千夜は優しいね…………でも…ゴメンね…春千夜……私がこれからする事……許してね……』
三途「絶っ対ぇ…許さねぇ……オレたちの前から……マイキーの前から消えたら……一生許さねぇから」
ギュッと抱きしめて、Aさんの肩に額をつけると、Aさんは何も言わずオレの頭を撫でてくれた。
昔と変わらない……人より小さくて優しい温かい手は、気分を落ち着かせてくれる。
三途「……頼むから…居なくならないで……A」
第240話 嵐の前の静けさ→←第238話 少しだけ二人の世界
2482人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠李(プロフ) - いつも楽しみにみています(*^^*)応援してます。頑張ってください。 (2021年12月14日 2時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - いつも楽しみに見てます!!今後がとても気になりました (2021年11月19日 19時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
まいこりん(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!! (2021年11月9日 18時) (レス) @page41 id: 580e720842 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (2021年10月4日 6時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - ぱむむさん» ありがとうございます!私も個人的に梵天のマイキーのメンヘラヤンデレ感がすごく好きで絶対話に入れたいと思ってました(笑) (2021年9月10日 18時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セシル | 作成日時:2021年8月31日 11時