第228話 降り注ぐ過去がとても痛い ページ30
万次郎「………………オレの手で終わらせて……か……」
眠りについたAを起こさないようにベッドに寝かせ、オレはAの隣に寝転がる。
いつからか……Aは死を匂わせる言葉を口にするようになった。それはもう口癖のように…………まるで、兄貴が死んで心を病んでしまった頃のAを見ているようだ。
“死んだら……真一郎に会えるかな……私が死ねば……マイキーも楽になれるよね……”
“バカな事言うなよ。Aが死んだら、オレ泣くぞ?Aは、オレの事泣かせてーの?”
“泣いてくれるの?”
“泣く。Aがいねーと困る”
“そっか……じゃあ、死ぬのはやめる”
あの頃と同じで、Aは愛を求めて、死を求めている。全部……オレのせいだ。オレがAに辛くて寂しい思いばかりさせてるから……心の弱いAは、また死に場所を探し始めてしまった。
万次郎「……A……楽にさせてやりてぇけど……オレにはまだ……オマエを失う覚悟がない……だから……もう少し…オレのそばにいてくれ」
Aの前髪をかきあげて額に触れるだけの口付けを落とすと、部屋の扉をノックする音が聞こえた。扉の向こうから「首領、三途です。お時間よろしいですか」という三途の声が聞こえたため、上体を起こして、「入れ」と声をかける。
三途「失礼します……奥方はもうお休み中でしたか」
万次郎「あぁ……さっき寝た……それで?オマエが付いていて、なんでこんな事になった?」
三途「式場のすぐ近くに車を停め、奥方を見送りました。車の外で奥方が戻ってくるのをお待ちして、連絡があればいつでも動けるようにしていました。戻られた奥方の顔色が優れなかったため、駆け寄った時に足を怪我されている事に気が付きました」
万次郎「何故、美玖琉を1人にした?オマエが付き添っていたら、防げたんじゃないのか?」
三途「奥方は首領との約束を気にされていましたので、目立たない方がいいと判断したため、車で待機する事にしました。オレの判断ミスです。申し訳ありません」
万次郎「…………」
三途「怒りが鎮まらないのであれば、どうぞ罰を与えてください。謝って済むとは、思っていませんので」
万次郎「……いや…元はと言えば、ついて行ってやれなかったオレにも責任はある───美玖琉との時間を作りたい。スケジュールの調節…頼んだぞ、三途」
三途「お任せください」
第229話 降り注ぐ愛は毒→←第227話 愛に飢えた死にたがり
2482人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠李(プロフ) - いつも楽しみにみています(*^^*)応援してます。頑張ってください。 (2021年12月14日 2時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - いつも楽しみに見てます!!今後がとても気になりました (2021年11月19日 19時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
まいこりん(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!! (2021年11月9日 18時) (レス) @page41 id: 580e720842 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (2021年10月4日 6時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - ぱむむさん» ありがとうございます!私も個人的に梵天のマイキーのメンヘラヤンデレ感がすごく好きで絶対話に入れたいと思ってました(笑) (2021年9月10日 18時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セシル | 作成日時:2021年8月31日 11時