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第218話 救われないと思う午前2時 ページ20

その日……結局、夜になってもマイキーが戻ってくる事はなかった。帰ってくる可能性もあったため、がんばって起きていようと思ったが、襲ってくる睡魔に勝てる事はできなかった。
深夜───眠りの浅いタイミングで、私の上に何かが乗っかる感覚がして、私は寝ぼけ眼を擦りながら、うっすら目を開ける。

『マ…イキー…?』

万次郎「ただいま…美玖琉…」

いつもの乱雑なキスとは違って、昔のような優しいキスが降ってきて、私の頭は困惑する。
寝ぼけて夢を見ているのだろうか……重たいまぶたを閉じようとすれば、起きろと言わんばかりに何度もキスをされ、私は身を捩って抵抗する。

『んー……や…………マイキー…ヤダ……』

万次郎「嫌なの?」

目を閉じたまま、コクっと首を縦に振れば、マイキーは私の背中に手を回して、私の事を抱き起こした。マイキーの腕の中にすっぽり収まる私の背中を、マイキーは幼子をあやすように、一定のリズムで叩いた。マイキーの手が、あまりにも優しくて、私の目からは自然と涙がこぼれた。

万次郎「どうした?美玖琉」

『……なんで………なんで…もっと早く帰ってきてくれないの……なんで…一人ぼっちにするの……』

万次郎「…………」

『マイキーは……もう私の事が好きじゃないんでしょ…?だから……私の事…追いかけてきてくれないんでしょ…?』

万次郎「…………」

『それでも私を連れ戻すのはどうして…?どうしてまだそばに置いておこうとするの…?』

万次郎「…………」

『私の事が嫌いになったなら……はっきりそう言って……私の事がいらないなら……私を殺して……私を楽にさせて……』

万次郎「…………」

その言葉を最後に、私は再び眠りについた。
───眠ってしまった私は、知らない。マイキーが今にも泣きそうな声で「ゴメン……ゴメンな…A」と謝って、まるで壊れ物を扱うように優しく抱きしめてくれた事を───私は知らない。

第219話 おそろいの檻→←第217話 鮮やかな憂鬱



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瑠李(プロフ) - いつも楽しみにみています(*^^*)応援してます。頑張ってください。 (2021年12月14日 2時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - いつも楽しみに見てます!!今後がとても気になりました (2021年11月19日 19時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
まいこりん(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!! (2021年11月9日 18時) (レス) @page41 id: 580e720842 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (2021年10月4日 6時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - ぱむむさん» ありがとうございます!私も個人的に梵天のマイキーのメンヘラヤンデレ感がすごく好きで絶対話に入れたいと思ってました(笑) (2021年9月10日 18時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セシル | 作成日時:2021年8月31日 11時

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