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第217話 鮮やかな憂鬱 ページ19

体がだるくて、何をするにもやる気が出なかった私は、自室で大人しくしている事を選んだ。そんな私を日が傾き始めた頃に、九井一が訪ねてきた。

九井「なんだ、A。今日は大人しく部屋にいるんだな」

『そんな嫌味を言うためにわざわざ来たの?ココ』

九井「まさか。我らが首領の大切な奥方の様子を見に来たんだよ」

相変わらずよく回る口だなぁと思いながら、私は読みかけの本に栞を挟んで、サイドテーブルに置く。「昨日、また首領と喧嘩したんだって?」とこちらにやってくるココに、私は乾いた笑みを浮かべる。

『もし…また私が逃げ出したら、ココたちの誰かが私の両足の骨を折る事になるかもね』

九井「そんな役回り、オレはゴメンだね」

『じゃあ……その時は、竜胆にお願いしよう。竜胆なら、上手く折ってくれそう』

冗談抜きで話す私に、ココは「やめとけ。断られるのがオチだ」と笑って、懐から白い封筒を取りだした。封筒には“佐野万次郎様”“美玖琉様”という太文字と、実家の住所が記載されていた。

九井「頼まれてたモン、貰ってきてやったぜ」

『ありがとう』

ココから封筒を受け取り、すでに開封されている封筒の中身を確認する。「それ、何?」と聞くココに、「パーちんの結婚式の招待状」と答えて、確認した封筒をサイドテーブルに置く。

九井「オマエ……まさか行く気か?」

『まさか……夫婦ともに不参加ってハガキ送り返してるよ…………ただ…御祝儀だけは…渡したいなと思って……』

九井「……首領が許してくれるかねぇ?」

『……9割は諦めてるから……ダメもとでお願いしてみる』

九井「オレからも話しといてやろーか?オマエよりオレの方が話上手いし」

『ううん…大丈夫……その気持ちだけで嬉しいよ……ありがと、ココ』

第218話 救われないと思う午前2時→←第216話 甘美で苦渋、繊細な眼差し



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瑠李(プロフ) - いつも楽しみにみています(*^^*)応援してます。頑張ってください。 (2021年12月14日 2時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - いつも楽しみに見てます!!今後がとても気になりました (2021年11月19日 19時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
まいこりん(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!! (2021年11月9日 18時) (レス) @page41 id: 580e720842 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (2021年10月4日 6時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - ぱむむさん» ありがとうございます!私も個人的に梵天のマイキーのメンヘラヤンデレ感がすごく好きで絶対話に入れたいと思ってました(笑) (2021年9月10日 18時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セシル | 作成日時:2021年8月31日 11時

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