検索窓
今日:8 hit、昨日:4 hit、合計:217,558 hit

第三話 瞳の中に住む悪魔 ページ4

『鬼堂家』とは、古来より伝わる殺し屋の一族。ワタシは、その一族の末裔。『鬼堂』の名を継ぐ者は──今じゃワタシしか居ない。
そして──今宵も闇夜に、真っ赤な花が舞い散る。

『──華舞ウトコロニ…鬼アラワル……』

舞い散る花と共に、番傘をさして現れれば、闇に生きる者達は決まって顔を青ざめる。怯える人間に、ワタシの中の鬼の血が騒ぎ立てる。
「疾く……疾く、その手を赤く染めろ」と──。

『……ツマラナイ』

それは、目の前にある屍に対しての言葉なのか、将又自分に対しての言葉なのか……自分でも判らなかった。
ワタシは幼い頃に両親を亡くした──否、正確に云うと殺された。両親が殺され、一族は滅ぼされたが、その時の記憶はワタシには無い。如何やってワタシだけ逃げ延びたのかも、今更思い出せない。だが、唯一つ云える事は、一族が滅びた事によって、今のワタシが存在していると云う事。

中原「A、疾くしろ」

『……今行く』

両親を失って、路頭に迷っていたワタシをポートマフィアが──森鷗外と云う男が拾った。
どうせ、殺しの道具として利用される──そう思っていたが……首領はワタシに生きる価値と自由を与えてくれた。ワタシは今の生活にとても満足している。

中原「また先走りやがって……手前は、俺の指示無しで動くなって云ったろ。何度云ったら判るんだ、莫迦」

『だって……中也、来るの遅い……だから、中也が悪い』

中原「手前……」

中也の手は、怒りで震えていた。また説教の一つでもされると思っていたが、中也は溜息をついて、ワタシの頭を乱雑に撫でた。そのお陰で、ワタシの髪の毛はグシャグシャだ。

中原「まァ、善い。とっとと帰って支度するぞ」

『支度?何の?』

中原「粗方は片付いた。横浜に帰えるぞ」

『……えー…』

中原「何だよ…その顔」

『……首領に会うの厭だなァ…って顔』

中原「……首領の前でそんな事云うんじゃねえぞ」

第四話 修羅の住む都→←第二話 ただの女の子に戻った彼女



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (98 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
228人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

瑠李(プロフ) - どころ所敦が淳になっています。 (2018年3月16日 20時) (レス) id: d8c6f7f40c (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - きな粉もちさん» そんな勿体ないお言葉ありがとうございます!!とても励みになります(T_T)これからもよろしくお願いします!! (2016年6月19日 0時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - もう大好きです!他の作品も読ませていただきました。どれもとても面白かったです!続きが気になりますがご自分のペースで更新して頂けたらな、と思っております。無理せず頑張ってください!私も陰ながら応援させて頂きます! (2016年6月18日 2時) (レス) id: 6d39800d09 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - パティーさん» ありがとうございます(T_T)そう言ってもらえるなんてとても光栄です!今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月9日 16時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 新作おめでとうございます(>ω<)セシルさんの作品&中也くん大好きなので今後の展開がとても楽しみです!!陰ながら応援しております!! (2016年6月8日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:セシル | 作成日時:2016年6月8日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。