第十話 少女Ａの逃避 ページ11
カーゴメカーゴメ…籠ノ中ノ鳥ハ──……。
“君達は、素晴らしい人種だ。殺しに特化した一族……是非俺達に協力してもらいたい。金なら幾らでも出そう”
“……それは出来ない相談だ。確かに、我々はそれ相応の金さえ支払って頂ければ、どんな仕事でも引き受ける。だが、我々には未だ遣るべき事がある……他を当たってくれ”
“そうか……それはとても残念だ”
イーツイーツ出逢ウ……夜明ケノ晩ニ……鶴ト亀ガ滑ッタ。
“逃げなさい、A……此処は危ないわ。貴女だけでも、生き延びるの”
“で、でもワタシ……”
“貴女の手は、未だ黒に染まっていない。外の世界で生きていける。こんな闇の中に居ては駄目。疾く逃げなさい……A…最期まで母親らしい事、何も出来なくてご免ね”
後ロノ正面…ダァレ──……。
“俺は欲しい物は必ず奪う……どんな手を使っても”
『──っ！？』
勢いよく起き上がれば、そこは火の海でもなければ、見慣れた部屋だった。視線を横に向ければ、恋仲が静かに眠っている。
いつもと変わらない情景──なのに、ワタシの心臓は五月蝿いくらい音を立てている。呼吸も荒く、うまく酸素が回らない。苦しい……そのせいで、生理的に涙がこぼれ落ちる。
そんなワタシの頬に、隣で眠っていた筈の男の手が添えられた。
『ちゅ…中也…？』
中原「……俺の知らねえとこで……泣くんじゃねえよ、A」
その言葉に、ワタシの瞳のダムは決壊した。子供のように泣きじゃくり始めたワタシに、中也は上体を起こしてワタシを抱き寄せた。「大丈夫だ」と云い訊かせるように、ワタシの背中を摩ってくれる中也に、ワタシは必死に縋り付いて、涙を流した。
中原「……怖い夢でも見たか？」
『……多分あれは……ワタシの記憶の欠片……』
中原「記憶の欠片…？」
『ワタシが……思い出す事をやめた……記憶の欠片……凄く厭な予感がする……』
得体の知れない何かが……すぐそこまで迫ってきている──その夜は、そんな気がしてならなかった。
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瑠李(プロフ) - どころ所敦が淳になっています。 (2018年3月16日 20時) (
レス) id: d8c6f7f40c (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - きな粉もちさん» そんな勿体ないお言葉ありがとうございます！！とても励みになります(T_T)これからもよろしくお願いします！！ (2016年6月19日 0時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - もう大好きです！他の作品も読ませていただきました。どれもとても面白かったです！続きが気になりますがご自分のペースで更新して頂けたらな、と思っております。無理せず頑張ってください！私も陰ながら応援させて頂きます！ (2016年6月18日 2時) (レス) id: 6d39800d09 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - パティーさん» ありがとうございます(T_T)そう言ってもらえるなんてとても光栄です！今後ともよろしくお願いします！！ (2016年6月9日 16時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 新作おめでとうございます(>ω<)セシルさんの作品＆中也くん大好きなので今後の展開がとても楽しみです!!陰ながら応援しております!! (2016年6月8日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セシル
| 作成日時：2016年6月8日 17時
