十五発目 小さな一匹狼#貴方side ページ19
必死に走って走って、行き着いた先はある一本の路地裏だった。
空っぽで、寂しくて。独特の煙の匂いが鼻にツンと来た。
私は上等な服を着ていたから案の定絡まれた。
彼らもお金が欲しかったんだろう、しかし私も生きていくためにはお金が必要。それは父を見ていてわかりきっていた。
前、本で読んだことがある。手っ取り早くお金を稼ぐ方法を。
人身売買。
人を売ってお金を稼ぐ。
…今の年齢ならね、私が売り飛ばされてもおかしくない。だから動けない。けれど、臓器なら?
心臓、肺、胃、肝臓、膵臓、脳みそ……そんなものを売ってしまえば簡単に稼げるのでは…?
幼き私は罪を知らないから、自分のために行動を起こす。だから、もっていたナイフで絡んできた人達、全員、切って切って、切り裂いた。
どこを狙えばいいか、なんて自分が狙われて一番痛いところを刺せばよかった。簡単だった。
私は、もちろんのこと血を浴びたから、服が動きにくくて仕方がなかった。
スカートの裾を破って、1人は首を、1人は腕を…なんて包んでいく。
そして、そういうものを買い取ってくれる場所へ売りに行った。
殺めた人はかわいそうだけれど、なんとなく、こういうことをするのならそんな意識は捨てなくちゃいけないと感じて、罪悪感なんか微塵も感じなかった。
買い取ってくれるおじさんは、まだおさない少女が…と驚いた顔をしていた。でも、直ぐに高笑いして「大したもんだよ、嬢ちゃん」と買い取ってくれた。
手元には、沢山の血とお金があった。
手に入れたお金で自分が雨風を凌げるところを作った。簡単にだけれど。
長い髪も持っていたナイフで切り、売った。父譲りの金髪は質が良かったのか良いお金になった。
手にかけた人が持っていた煙草も吸い始めた。最初は煙が苦くて苦しかったけれど、慣れてしまえばそれが癖になるものだった。
季節が何度も巡った。
成長してきたから簡単な服に買い替えて、普段からそれを着るようにした。
臓器を売ったのはあの1度きり、それ以後は一匹狼っていう噂のおかげか簡単に稼げた。ナイフも増やして、さらに生き延びる術を学んだ。
もう何年も、人に触れることをしていなかったせいか、自分で人に触られることを、触ることを忘れてしまった。
人を攻撃するのはあくまで自衛手段。
絡まれたら怖い、触られたくない。だから、切る。
そしたら近づく人は居なくなったから。
私はアンナ以外の人に、触れなくなってしまった。
十六発目 見間違いと勘違い#十四松side→←十四松目 誰の所為…?そんなの、決まってる。#貴方side
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れい - おそ松兄さんがいいです!!大好きなんです!更新頑張ってください! (2016年1月16日 19時) (レス) id: 405b985d2c (このIDを非表示/違反報告)
郷 - おそ松オチがいいです!頑張ってください! (2016年1月14日 15時) (レス) id: 98c5b52946 (このIDを非表示/違反報告)
優維 - おそ松がいいです!! いつも面白い作品を、ありがとうございます!! (2016年1月14日 7時) (レス) id: 845e7660f5 (このIDを非表示/違反報告)
ソメイヨシノ(プロフ) - はるさめさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるとすごい嬉しいです…!あ、なんか目頭が熱く…(´;ω;`)ウッ…こちらこそ、良縁がございましたようで何よりです!是非楽しんでくださいね! (2016年1月10日 16時) (レス) id: 55914f348c (このIDを非表示/違反報告)
はるさめ(プロフ) - あなたの作品で占いツクールを知りました!ありがとうございます!! (2016年1月10日 13時) (レス) id: f5fb11865f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソメイヨシノ | 作成日時:2015年12月22日 1時