十二発目 瞳の色と愛され基準 ページ16
Aの家族は現当主、エドワード・プリエーデとその妻であるセルジュ、Aとあと1人、双子の姉がいた。
双子とはいっても二卵生、似ているわけではない。
姉…イレアナ・プリエーデは母自慢の橙色の瞳と栗色の髪の毛両方を持って生まれたから。
Aは父譲りの金髪と誰譲りでもない緑色の目だった。
瞳の色が違うけれど、DNA検査の結果は紛うことなきエドワードとセルジュの子だった。
だからセルジュもエドワードも彼女を気味悪がった。気味悪がり、溺愛している母に良く似たイレアナを可愛がった。
彼女は、置いてきぼりだった。
それが普通だと、当たり前のことだと考えていた。彼女にとっての世界は狭かったから。
Aにとって橙色の瞳は羨ましいことこの上なかった。セルジュやエドワードから大切にされ、愛されて、虐げられなかったから。
イレアナも愛されていた。それはきっと橙色の瞳があったから。
彼女にはそれがなかった。誰譲りでもない瞳の色、緑色。
彼女は寂しいという気持ちがわからず、どうしたらよいのかわからず、立ち止まるばかりだった。しかしそれでも、彼女の思考は幾分か大人で、計算はよくできるようだった。
イレアナにはたくさんの英才教育をさせているのに、何もさせてもらえない。できるのは自分で学んだことだけ。
すぐに姉と自分を比べられる。
やらせてもらえてないのに"出来ないのね"はあんまりだった。
イレアナの幼きゆえの残酷さも彼女の心を蝕んだ。
「Aはどうしてこんなにも簡単なことができないの?私にはできるのに。」
「Aはどうしてお母様から愛されてないの?」
「なんでAはいつも1人なの?お友達、いないの?」
「なんでAは言葉遣いが正しくないの?お母様が呆れてしまうわよ。」
「なんでAは」
「Aはどうして」
なんで、どうして、と繰り返される言葉。
それがAの心を傷つけ、蝕んでいった。
いつしか彼女は笑わなくなってしまった。
泣かなくもなった。
泣いたら五月蝿いと言われてしまう。
殴られることもある。
辛いけれど、耐えなくちゃいけない。
まだまだ幼い齢なのに、いろんなことを考えるようになった。
逃げるために速く動く方法、怒られずにひっそり過ごす方法。
既に人並み以上に、凄い時にはエドワードを凌ぐほどのことを考えるようになっていた。
それほどまでに、愛されていなかった。
十三発目 一瞬の暖かさは本当に一瞬→←桜荘:夢主ちゃんイメージ画
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れい - おそ松兄さんがいいです!!大好きなんです!更新頑張ってください! (2016年1月16日 19時) (レス) id: 405b985d2c (このIDを非表示/違反報告)
郷 - おそ松オチがいいです!頑張ってください! (2016年1月14日 15時) (レス) id: 98c5b52946 (このIDを非表示/違反報告)
優維 - おそ松がいいです!! いつも面白い作品を、ありがとうございます!! (2016年1月14日 7時) (レス) id: 845e7660f5 (このIDを非表示/違反報告)
ソメイヨシノ(プロフ) - はるさめさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるとすごい嬉しいです…!あ、なんか目頭が熱く…(´;ω;`)ウッ…こちらこそ、良縁がございましたようで何よりです!是非楽しんでくださいね! (2016年1月10日 16時) (レス) id: 55914f348c (このIDを非表示/違反報告)
はるさめ(プロフ) - あなたの作品で占いツクールを知りました!ありがとうございます!! (2016年1月10日 13時) (レス) id: f5fb11865f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソメイヨシノ | 作成日時:2015年12月22日 1時