One Night Love【斉藤壮馬】

2 ページ3

.







「お客さん〜、もう店閉めるよ！」

貴方「んぇ？はぁ〜い…」








店員さんに肩を揺さぶられて目を覚ますと店内には私だけだった
もう〜また皆に置いてかれた〜誰か送ってくれてもいいじゃん〜
ハッキリと思考が定まらないままフラフラな状態でお店を出て向かう先も決めずにただ真っ直ぐ歩いた



はあ〜…結婚か〜いいな〜…
でも私には程遠い夢のまた夢の話だな
今回も振られちゃったし〜
ていうか一方的に振るなんて酷くない！？ふん！いいもんね〜こっちはもっと売れて有名になっていつか美人声優って肩書き貰う予定なんだから！その時後悔しても知らないから！









貴方「…」









それでも自分なりに彼の事を愛していた。今までだってそうだ。ちゃんと好きだったのに…

過去の思い出がフラッシュバックされて自然と涙が溢れた


なんでいつもこうなるんだ…
女がガサツだとそんなにダメ？料理出来ないとダメ？お裁縫出来ないとダメ？
そんなの関係ないはずだよ




ぽたぽたと流れる涙を拭いながらただひたすら真っ直ぐに歩いていると道端にダンボールを見つけた
ダンボールの中に薄い布が敷いてある事からしてきっと犬か猫が捨てられてしまっていたんだろう…

でもそれらしき動物は周辺にいない
優しい人に拾われたのかな？そうだといいな









貴方「誰か私も拾ってくれないかな〜…なんて」









そんな事を思いながらフラ〜っとダンボールに近づいて中に足を入れてその場で体育座りをした


…何してんだ私。いくら酔ってるとは言え…
でもなんだか居心地がいいかも。
ここで暮らそうかな〜！…ってアホか









「おねーさんここで何してるの」









不意に声がして顔をあげると男の人にしては可愛らしい顔の男性が私を見下ろしていた









.

3→←1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す