【d!】世界崩壊までのカウントダウン (ページ10)

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己ノ罪　#1 ページ10

時は遡り、城に侵入者が居た時の話になる。
グルッペンからの指示を受けたトントンは、城下町の見回りを、ひとらんらんと別れてしていた。
城下町は平和で、興味深い店からどこにでもあるような店まである。

(ココも異常なしやな)

トントンが歩けば、民衆の視線もそちらに向く。
高身長のトントンは元々目に留まりやすいが、一国の幹部となれば言うまでもない。
そして、顔も整っているという条件だ。
注目を集めてしまうのも仕方がない。

(ん?あれは…)

路地の近くに、空間の切れ目の様なものが発生していた。
能力によるものかは分からないが、トントンは特に理由もなくそちらへ引き寄せられた。
手が触れると、ビュンッという音と共に一面が闇に染まった世界に迷い込んだ。
音もなく、本当に無の世界という言葉が一番似合う。

「誰や!」
「まったく…失礼な奴だ」

トントンはとても大きな気配を感じた。
自分よりも遥かに大きな未知の気配。
ぐわんぐわんと頭の中で反響するような声。
気配は膨れ上がり、空間そのものが一つの気配であるような…

「お前は…審判者か。力が非常に似ている」

一人の女が現れた。
否、正確に言えば映像のように映し出されている。
女はクツクツと笑い、トントンに近づく。
警戒を緩めずトントンが言った。

「似ているって…何に」
「人は生まれながらにして罪を背負っている。では、その罪に対して罰を下したのは誰だ?」

トントンは声を出すことが出来なかった。
答えを知っているが、認めたくなかった。

「そう。神だよ。君は神とよく似ている。全てを見透かす瞳も、罪の音を聞き逃さない耳も」

ガツンと頭を強く殴られたような衝撃。
トントンの視界が涙で滲んだ。
喉が焼けるように熱い。
瞳孔が開く。
背中の傷跡が妙にうずき、呼吸ができない。
トントンの瞳が、一瞬だけ、ほんの刹那の時間だが、蒼色に光った。

「神になり損ねた…否、神に使える天使だ」
「がっ…あぁぁ!?」

(認めたくない。違う。俺は人間や!両親も…)

トントンは膝から崩れ落ちる。
心当たりがあるとすれば、一つしかない。
‘人体実験’
一体あの地獄は、何のためだったのだろうか。
ゾクゾクと寒気が這い上がる。
何を言われている訳でも無いのに、耳を塞ぎたくなる。

「真実を知りたい?」

真実という言葉にトントンは息を呑んだ。
女は目を細めて嗤っている。
だが、その笑みを最後に映像が消えた。
体が押し戻され、現実に帰る。
時刻は集合三十分前だった。