【ObeyMe!】好いた君の無理が欲しい【ソロモン】 (ページ3)

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最強魔術師と凡人と #3 ページ3

もう一人の人間――ソロモンは魔術師だ。

それも72もの悪魔と契約した人類最強の、である。

元から魔界との交流があったらしい彼は、私と違って大抵の悪魔から尊敬と恐怖を向けられていた。

自分と契約して欲しい、と申し出る下級悪魔の姿を見かけるのは日常の風景とまで言える。

私と彼の交流は、正直あまりない。

同じ人間の留学生という立場ではあるが、下宿先は違うので時々メッセージを送るだけ。

アスモデウスを交えて会話することの方が多く、二人っきりという状況は意外にも少なかった。

講義中に話しかけられるのは、今日が初めてではないだろうか。

「ソロモン、あの講義とってなかったよね。なんで教室に？」

「たまたま教師に用があってね、そしたら君を見かけたから」

廊下をスタスタと歩くソロモンを、悪魔たちは邪魔することなく自主的に道を開く。

これが私ならそうもいかない。

ルシファー以外の兄弟たちと契約したとはいえ、私を馬鹿にする者の方が多かった。

よってヒソヒソと陰口を叩かれるか、絡まれるかの二択である。

幸いにも、本日は彼の後ろを歩いていることもあってか、特になんの障害もなく校門にまで辿り着く。

いつもなら兄弟の誰かに声をかけられて一緒に帰るところだが、今日は全員用事を抱えていた。

ソロモンと二人っきりで下校するという事実に、妙な緊張感を覚えてしまう。

そんな私を気遣ってか、いつも以上に彼は話しかけてくる。

「魔界には慣れた？」

「多少は。まだまだ驚くことで溢れてるけど」

「君がここへ来て半年すぎとは思えないね。まさか七大君主の半数以上を従えちゃうなんて。悪魔たちの間でも噂になってるよ」

俺より先にルシファーと契約しちゃうかも、と冗談交じりで投げかけられた。

この時の私はまさか本当に長兄と契約できるとは思ってもいない。

そうなったら何を頼もうか、なんて、実行する気もない妄想をソロモンに語る。