見廻り組一番隊隊長の恋 (ページ10)

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九話ページ10

「……ん、トシ……？」

朝特有の眩しい光にAは目を覚ますと隣に土方が居ないことに気付いた

「……仕事、行っちゃったんだ」

そのことに少し悲しくなったのだがAも見廻り組に帰らなければいけないのだ

自分も早く起きて土方と行けば良かった、等とAが考えていると部屋の襖がピシャリと開けられた

「おはようございまさぁ、A」

「！おはよ、総悟。あの、トシは？」

「……………」

どうやら襖を開けたのは沖田だったらしい

土方の居場所を沖田に聞こうとしたのだが聞かれた沖田はどうやら教えてくれる様子ではなかった

その様子にAは少し違和感を覚え、何があったのか聞くことにした

「……何か、あったの？」

「……A、今日は土方さんは江戸にいねェ」

沖田の言葉に出張か何かか？とAが考えを巡らせていると沖田が静かに言葉を続けた

「……今日、死んだ姉上の命日なんでぃ。アイツも武州にある姉上の墓参りに行ってるんでさぁ」

「……そっか……。なら総悟も行こうよ！」

「……は？……俺は…別に良いんでさぁ。アイツなんかと鉢合わせなんて真っ平御免なんでぃ」

そう言っている沖田は余りにも悲しそうな表情を浮かべている

その表情にAは呆れた様な顔をしてから沖田に手を出した

「……私は貴方の姉上様のことや、トシと昔何があったのかなんて聞くことはしないよ。でも、知らなくても助けることはできる。私達は仲間だってトシが言ってくれたんだ、だから仲間じゃないか。一緒に行こうよ」

そう告げたAに沖田は顔を上げた

そして少し驚いた様にAの顔をジッと見詰めると先程の表情が少し和らいだ

「………だけどアイツとなるべく会わない様に、でさぁ」

「ん、オッケィ。じゃあ行こうか」

二人並んで真選組の門を出ると外はとても天気が良く、暖かかった

その暖かさに Aは頬を緩めると、先に歩き出してしまった沖田の背中を慌てて追うのだった